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La Casa nella prateria 草原の中の家

<画像転載禁止、ご理解ください>
★La Casa nella prateria 草原の中の家★

前回ご紹介した雑誌記事 Tra rigore e spontaneita’「厳しい環境と自生植物」のデザイナーである
Anna Scalavella(アンナ・スカラヴェッラ氏)に取材できました。
彼女は自身の作品を一冊の本にまとめており、今回の作品も含めいくつかの物件について快く取材を引き受けてくれました。
Dal paesaggio al giardino –idea,progetto,realizzazione-
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Piacenza(ピアチェンツィア)の週末を過ごす別荘の持ち主は建築家ご夫婦+娘1人、普段はミラノで暮らしています。ピアチェンツィアはエミリアロマーニャ州に位置しています。ここはVal Luretta(ルレッタ渓谷)の自然に包まれた場所、そろそろ春ですね。眠っていた落葉樹や自生植物が徐々に息吹きはじめる季節です。
またの機会に春爛漫の美しい写真を見せて頂けるとのこと、デザインコンセプトであるこの場所の風景に溶け込む様子、山からの緑が繋がる様子、そして自生植物による風景の持続を楽しみにしたいと思います。
荒れたそのままの自然、ではなく、自然の美しい四季を繰り返すための庭づくり、家=建築=人間に近づくにつれて多少なりのメンテの必要な計画をし、山へ、丘へ向かうにつれて自然の力に任せる計画をしています。

■美しい渓谷の風景に佇む別荘は木とガラス、シンプルな造り、風景に溶け込むようにデザインされています
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彼女が自身の本の中で語る内容を抜粋しました。
非常に誌的で、上手に訳せているか・・・定かではありませんが、私なりの解釈で(笑)

■Il paesaggio(風景)
この地はどこが緑のはじまりで、どこが終わりか理解できない雄大な場所である。草原の中に刺さるように建築物が存在、でもそれは風景を遮らず、風景の中に溶ける。
木材とガラスでできた箱は透明な壁として風景が通り抜けるのである。
持ち主でもある設計者ご夫婦は「丘に舞い降りるような」家をデザインした。
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■Il progetto(プロジェクト)
現代建築のための草原をつくる、風景の中に家を造る、それはイコール緑、庭、風景の設計である。
純粋に建築につながる緑とは何だろう?たぶん同じように純粋な緑だろう。だから人工ではない、あるがままの自然をデザインした。
自生植物をベースに考えるということは、時間を必要とする。風が、動物が森から種を運ぶ、四季が繰り返す。そして植物にとっての「熟し」に達し、草原の完成である。
冬になれば枯れ、春にまた息吹く。自然の摂理のまま過大なメンテなど必要が無い。
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■Il giardino(庭)
斜面に建つ家から森を見上げ、反対を見下ろすと緑の地平線が見える。家の中にいても緑が繋がっている。
ガーデンの形としてのデザインを我慢して、自然のあるがままを受け入れるデザインとは、野生の自生植物を人間の介入なしで「熟し」の状態、いわゆる植物界の均整がとれている美しさをつくること。
敷地内を森に近い方から3段階に分けて考えた。1段階:森に近い一番高い場所は自生種をそのまま放置、2段階:少し人間の手を加えながらも自然のまま、種は撒かず、自然の力で運ばれてくるのを待つ場所、3段階:一番低い場所、家の前は芝生を敷く、手を加えるエリアとした。その結果、風景が森から家に至るまで緩やかな3つの変化をガラス越しに見せることになる。
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「この場所に既に成長して根付いている樹木や植物と、これから植える新しい植物が共生できるデザインを目指しました。視線上で繋がる緑の連続ですが、お互いの浸食を避けるために、コンクリートのシンプルな花壇でエリア分けしました。これが非常に大事だったと思っています。」

アンナ・スカラヴェッラ氏は以前住んでいたミラノから自然豊かなピアツェンツィアに移住しました。
現在は住居兼スタジオで仕事をしています。
農家を改造した家が多く、ここも昔は玄関前の大きな納屋、ポーチだったようです。
気持ちよい空気に包まれたオープンエアーのスタジオ、その地の植生を知り、自然をデザインする彼女に最適な空間です。
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Anna Scaravella - Landscape Designer
http://www.annascaravella.com/index.php

雑誌の記事での解釈とは少し違う印象もあったりと、デザイナー本人への取材は本当に楽しいものです。
この場を借りてご協力を感謝したいと思います。
とてもハンサムウーマンな彼女の今後の作品も楽しみです。

次回も引き続き、彼女の作品を取材します。
お楽しみに。