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IL Parco Portello(ミラノの再開発公園)

<画像転載禁止、ご理解ください>
★恒例・・・イタリアのガーデン雑誌「gardenia ガルデニア」2013年3月号より★

Il Parco Portello 「時の庭~スパイラル~」
ミラノ郊外に新しくできた再開発地域のアーティスティックな公園をご紹介します。
最初に目に飛び込んでくる桜並木、イタリアだとなかなかインパクトがあります。
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ミラノ中心から5㎞強のPortello地区、Via Don Luigi Palazzoloに位置する80000㎡ほどの大きな敷地はアルファロメオの工場跡地です。現在は63000㎡ほどまで完成し、最終形に至るまで工事が進められているようです。
このエリア全体、約37haが街の再開発地域となっており、その一部が公園となりました。車の渋滞道路の激しい地域の新しい緑の拠点として、またタウンハウスやマンションが並ぶ住宅地OT8地域から直接アクセスできる橋ができ、自転車と徒歩での行き来が出来るようになり、住民の憩える大きな公園になりました。さらにこの土地の歴史を未来に繋ぐオブジェや仕掛けが多く計画され、公園の名前になった“時の庭 Time Garden”のコンセプトに基づいています。何でも存在する、数えきれないコンセプトが潜んでいる盛り沢山な場所のようです。
1995年に再開発計画がスタート、民間企業であるインダストリアルデザインの会社の社長が音頭を取り、公園計画が進められました。彼はヴェネツィアビエンナーレでインスピレーションを感じたデザイナーCharles Jencks氏にコンセプトデザインを、実施はミラノのランドスケープデザイナーAndreas Kipar氏にそれぞれ依頼しました。
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地域住民に愛される公園、中に入るとダイナミックさや強いエネルギーを感じさせるデザインを目指し、4㎞の長い散策路、3つの丘(美しく掘られた造形的な穴をもつ)は人々が登ってみて何かを発見したり、高さの違いや変化する風景を楽しんだり、車の騒音から解放されたりと、街の中心にいながら、気分的に遠く離れた場所にいるような雰囲気に包まれます。
歩いているとベンチや遊具が点在しています。将来的にはお弁当を食べられるパビリオンがつくられ、水面でアイススケートを楽しめるアイデアも検討中です。約2/3のエリアが完成し、地域に根付いたリピーターの多い公園になっているようです。残り1/3は保育施設と野外劇場が企画されているということです。
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すぐ近くにParco Monte Stellaという爆撃の名残をコンセプトにうたい戦後に整備された大きな緑の丘公園があり、3つの丘はこの公園との繋がり、歴史を考えているようです。

「歴史や時間、時のめぐり、時のはやさをダイナミックに表現したシンボル的存在として、丘は円形で、路がぐるぐる回り、カーブを描きスパイラルになっている。これらを取り巻く生垣や小路、それを映し出す水鏡も。この公園のメインテーマは“時”である
公園内にある全てのもの、斜面、道、照明、ベンチ、サイン、植物、これらの色彩、モノ同士の対話が心音のようにドンドンと伝わり、音楽のように流れ続ける。」

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3つの丘は10,14,22mと高さに変化をつけ、それぞれ起源、歴史、現在を表していて、コンセプトに基づいたデザインが施され、オブジェや線形、素材が工夫され、アルファロメオの存在も刻まれています。
歴史に関する数字を使い444本の植樹を行ったり、月の満ち欠け、1年365日、12か月にまつわる数字を刻んだ舗装も見ることが出来ます。
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建築家Charles JencksのHPより作品の紹介ページへ(図面や模型もあります)
http://www.charlesjencks.com/#!projects-spirals-of-time

ランドスケープデザイナー Andreas Kiparはミラノの再開発に大きく貢献しているようです。
https://www.landsrl.com/


こちらでも写真が掲載されています。