Eliza(エリーザ)とDavide(ダヴィデ)によるユニット+Paolo(パオロ)による新作品が竣工しました。

以前の記事(Japan Design Netとブログ)

JDN北イタリアでエコハウスを設計する建築家グループ
No.1 北イタリアの集合住宅
No.2 北イタリアの個人邸リフォーム
No.3 ラクイラ地方の再生プロジェクト

edificio-unifamiliare-BL
2011-2014
Pergine Valsugana, Trento
progettazione
Elisa Burnazzi, Davide Feltrin, Paolo Pegoretti
cliente privato
foto Carlo Baroni
(※写真の著作権は全てBURNAZZI FELTRIN ARCHITETTI& Paolo PEGORETTIに帰属します)
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今回の住宅プロジェクトは北イタリアのペルジネ北部、平坦な地域にある60年代の地上3階地下1階建のリノベーション、2フロアにロフト階を加える個人邸の計画です。
敷地は教会や城の歴史ある景色とドロミテ、ブレンダ山脈の美しい山並みに包まれ、年間を通して日当たりのいい場所です。
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外壁、アルミ材、木材部分も全て真っ白に仕上げ、周囲の建物にはない白い箱、これが今回のデザインテーマです。
物体の白と透明の関係、物体がすべての波長の可視光線を(ほぼ)100%乱反射するとき、その物体は白いという(Wikipediaより)性質を建築に取り入れ、美しい白の箱を造り上げたと言います。
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地域性と既存建物の形状を生かした非常にシンプルでコンパクトなデザイン、容積を低くおさえ、箱を連結させたような構成としています。屋根のあるベランダ、アウトドアリビングを充実させると同時に、正面ファサードの景にインパクトを与えています。透明な強化ガラスは部屋と風景をダイレクトに繋ぎ、夏は断熱性能によって暑さを和らげ、冬は暖かな日差しを取り込みます。最上階の屋根に太陽光パネルを設置しましたが、視覚的に目立たないように、段々型の建築デザインの勾配を利用しています。省エネ対策として部屋レイアウトを検討しました。冬の光を取り入れるべく南東の窓を大きく取り、夏の暑さ緩和のためにアウトドアリビングを、また風の通り道も考慮に入れています。

購入時の姿をみてのクライアントの希望は全体の改修、ほぼ全てが造り直しとなりました
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1階(地上階)は玄関とガレージ、2階とロフト階は生活スペース、地下1階にはワインセラーや貯蔵庫、ボイラー室が備わっています。
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シンプルな白い玄関ホールに印象的な黒い箱、木板の階段、インテリアは「白、黒、木」の3色の構成です。
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開放的なキッチン、光を浴びて美しいですが、夏の暑さから守るガラスによって快適に過ごせるそうです。
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メインの2階リビングは赤の差し色が効果的です。リビングからロフト階に繋がる階段は透明、ここから先はプライベートという領域性を表現しています。秘密基地にあがっていく感がありワクワクしますね。
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柔らかい光が差し込むマスターベッドルームです
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マスターベッドルームに専用シャワールームを設けました。床もポイントになる壁も部屋と同じホワイトオーク貼り、段差をなくしたバリアフリーです。メインは漆喰塗装、シャワーエリアは磨きの磁器タイル(薄く加工したスラブ材)を貼りました。大きなシャワーヘッドが印象的です。シャンプー類を置くニッチがさりげなくシンプルなデザインのこだわりを感じます。
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子供たちにも彼ら専用のシャワールームがあります。
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夏は美しい光を浴びて真っ白に、冬は雪を被ってまた真っ白に?冬の景も見てみたいですね。
北イタリアの生活感を少しだけ体感できたような気分で取材しました。

Grazie per l'intervista,Davide,Elisa & Paolo.
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昨年、ブログ記事で雑誌の記事をご紹介しましたSandrini Green Architecture社が取材に応じてくれました。

Sandrini Green Architecture
www.sandrini.it
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Sandrini(サンドゥリーニ)社は1993年、緑の空間をこよなく愛するMarco(マルコ)氏、Giuseppe(ジュセッペ)氏兄弟によって北イタリアのBrescia(ブレシア)に設立されました。マルコ氏はデザイン、ジュセッペ氏はマネージメントを担当し、現在スタッフも増え大きな会社に成長しています。イタリア国内だけでなく、ヨーロッパ、ロシアのプロジェクト、さらに海を越えてアメリカやUAEにおいても活躍しています。デザインから施工、メンテナンスまで、風景づくりのノウハウを活かし、それぞれのプロジェクトに長く関わっていくことを仕事のベースとしています。
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昨年から今年にかけてホームページも新しく整えられ、ますます忙しい日々を送る事務所です。

今回はいくつかのプロジェクトを見せて頂きました。

◆Villa private a Forte di Marmi

(フォルテ ディ マルミの別荘:トスカーナ州2012)
面積:約3000㎡
高中木15 刈込ツゲ(トピアリー)20 低潅木403 ツル植物10 地被・芝類等1075ポット
施工期間:240日(約8か月)
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個人所有の別荘のガーデンリニューアルです。70年代に造られたとみられ、何世紀も経た大きなカイガンショウ(地中海沿岸の松、上部で傘のように広がる)が残るガーデンでした。剪定整理からスタートし、レベル差を考えながら、ステップを検討し、スペースをより多く確保するベースづくりを行いました。
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70年代のデザインを現代に変え、プールやスパゾーンなど外部舗装も全て新しく生まれ変わりました。ステップを包む四季折々の花のサイクルを詳細に検討し、オーナーが長く過ごす夏には、特に香りと色彩が豊かになるような計画を施しています。
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◆Villa privata a Costa Azzurra
(コートダジュールの歴史ある別荘:フランス2007)
面積:7000㎡
パーゴラ デザインフェンス 彫刻等12 テラコッタプランター(ハンドメイド)26 高中木316 刈込ツゲ3200 低潅木1396 多肉植物90 ツル植物758 地被類2500
施工期間:340日(1年弱)

コートダジュールの海を独り占めできる立地の別荘は1800年代にベルギーの王、レオポルドⅡ世のために建てられたものです。7000㎡もの広さの中には植物園のように貴重な植物が配され、重要な建築物と価値のある彫刻を包んでいました。この中に入るべく一貫性のある調和のとれたデザインを目指しました。生活の拠点としてふさわしいオリジナリティ溢れる場づくりです。
クラシックで豊かなスタイル、この地に800年代終わりに流行したデザインをベースに計画していきました。
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エントランスアプローチは石積みの壁にニッチを設け、ツゲの丸刈込をテラコッタプランターに入れる伝統的手法を用いました。長い道にリズム感が出来ます。舗装もこの地の伝統的な砂利敷舗装(洗出しのような)です。
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ヴィラのエントランス広場に着くと、デコレーションされた舗装、ニンフを祭る神殿、そしてアーチ形に刈り込まれた生垣に迎えられます。緑のアーチの中には四季を表す4体の彫刻が配されています。これもまた伝統的なイタリアンガーデンの手法と言えます。エントランス広場は個性的な舞台装置となりました。
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同じ理由で、3階の屋上庭園にもフレームワークでアーチデザインを取り入れました。
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海に面したプライベートガーデンと繋がるプールテラスは濃い緑の中に真っ白な花、そしてこの地の歴史を培ってきた地中海気候植物、ディクソニア、フェニックスカナリエンシス、ストレチアで彩りを添えています。
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◆マスタープラン/プレゼンテーション
①Masterplan per la citta di Lusail(街づくりマスタープラン:カタール2009)
Lusailはカタールの新しい街。これはカタールの精神、歴史・伝統と未来、イスラム文化に新しい現代的な要素を融合させる提案プロジェクトです。
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②Terazza giardino pensile a Dubai(ドバイの高層マンション、テラスガーデン2008)
ドバイの海沿い、流行の先端を行く地域に建つ高層マンションの人工地盤ガーデンの計画です。高さ516mに位置し、プールを中心にキッズエリア、大きなパーゴラを持つバーカウンターがあります。
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③Residenza Taranto(ターラントの集合別荘地:イタリア2007)
南イタリアの港湾都市ターラントの集合別荘地のリニューアルプランのコンサル業務、建物外観のデザインも含めたマスタープランを提案しました。
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引き続き最新プロジェクトのお話をお願いしているところです。
ご協力ありがとうございます。

Grazie per intervista del'articolo,Sandrini Green Architecture,sopratutto Geomtria Silvia Neonati.
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熱海市の姉妹都市SanremoにあるVilla Ormond日本庭園リニューアル

前回に引き続き、フランチェスコ氏が牧岡氏、増井氏と共に造り上げた日本庭園プロジェクトをご紹介します。
Villa Ormondの日本庭園は元々イタリアのSanremo(サンレーモ)と日本の熱海市が姉妹都市提携(1976年)の一環として1991年に作庭されましたが、ここ十数年間はメンテナンスもなく放置された状態が続いていました。
過去にサンレモ観光局が熱海を訪れ、景色が似ていると言ったことが発端、海に面した風景や気候に加え花市場、音楽祭など共通点が多いことも提携に結びついたそうです。サンレモに日本庭園、熱海にイタリアンガーデンというガーデン交換計画が実現したのです。

Sanremo(サンレーモ)公式HP
http://www.comunedisanremo.it/
フランス国境に近いリグーリア州(地中海に面する)の自治体、1951年から続く「サンレモ音楽祭」や自転車ロードレースのゴール地として知られています。生花の産地としても有名です。

フランチェスコ氏
「当時、熱海市から歴史ある日本庭園のプランをいくつか頂いたようです。日本庭園の手法をベースに滝や池をつくり竹林、桜やモミジ、ソテツなどを多く配しました。しかし時が経つと共にメンテナンスを怠り、竹はそこらじゅうに蔓延り、滝は見る影もなく、植物たちは枯れ果ててしまいました。トリノ大学で教鞭を取りはじめてから単発でサンレモでも講義をするようになった私は、この悲惨になってしまった日本庭園を何とかしたいと思い、2009年より講義の合間を縫って庭園の掃除、伐採作業を始めました…市役所の職人さんたちもかなり協力してくれ、時には生徒たちも手伝い(とてもいい勉強になりますし)、我々は蔓延った竹林を伐採し、滝を修復しました。全てボランティア、無償でしたので新しい材料は使えず、そこにあるものだけで修復を試みたのです。スケッチでは滝の右側の大きなビャクシンは3段造り、ゴヨウマツ仕立てにしようと考えていたのですが、剪定しているうちに亀の甲羅を思いつき、大刈込を施しました。」


★枯れ果ててしまった池泉庭園の様子と修復するためのイメージスケッチ
このスケッチに基づいて伐採整理をスタートしました
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★亀の甲羅に見立てたビャクシンの大刈込、2009年→2010年の剪定の変化がわかります
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延びきった植物で覆われて姿が見えなくなってしまった滝、フランチェスコ氏たちの伐採整理によって姿を見せました。しかしその滝の上部はコンクリートがむき出し、給水口はほぼ詰まって塞がれていた状態だったと言います。時間をかけ、周囲の協力のもと、彼らは石組をし直し、滝の景を修復しました。淀んでいた池も清掃からはじめ、フランチェスコ氏自身が持参した舟形石が新たに加わりました。

★剪定後、姿を現した滝の上部の状態と石組工事の様子
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★完成した様子、舟形石が池泉庭園に色を添えました
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フランチェスコ氏
「滝と池が完成してから1年ほど経過した2011年、サンレーモで盆栽会議が開催されることになり、これまで作庭したことのない枯山水庭園をつくることに!私は牧岡先生と増井さんに協力を仰ぎました。枯山水のデザインは私と牧岡先生と2人の手で進めました。私のアイデアは鶴島をもつ枯山水、対になる亀島はそれまで修復を重ねてきた滝の刈込、亀の甲羅を模ったビャクシンです。」

★フランチェスコ氏のアイデアと計画プラン
当初は枯山水庭園の中に入れるようなイメージで、蹲に触れ、座に腰かけて鶴島を眺め、鶴島を通して亀島を見るというストーリーで描いたプラン
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★施工開始日の前日、打合せの中で牧岡氏がその場で描いたプラン
美しい竹林を伴う枯山水は眺める庭として人が入るべきではない。ここは船着き場をイメージしたらどうか・・・と。何故ならここはサンレーモと熱海の姉妹都市であることを大切に思うべき場所、両市の海の止場という共通項を意識し、枯山水は「水」であるべきだ。さらに後ろに控える水景とつながる川の役割も担う。
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フランチェスコ氏
「プロジェクトはワークショップとしてトリノ大学とサンレモ市の提携で進められました。デザインは私のアイデアをベースに、上記のように重要な変更点がありました。また特徴として枯山水の池の中で犬や猫、カモメを遊ばせるように岩を配する風景を造りこみました。これは高台寺の鳥獣人物戯画をイメージしています。動物たちの走り、遊ぶ姿を表現するというものです。“物真似”の手法により、岩を動きがあるように配置し、動物たちを想像させます。牧岡先生が初めてこの地に足を踏み入れた時、実際に猫や犬、カモメが遊んだり喧嘩したりしている姿を見て戯画を思いついたのです。サンレーモの人々がここに餌を持ち込むようで、たくさんの野良動物が集まってしまうようでしたが(笑)。」

高台寺の「鳥獣人物戯画」は以下のHPの中に詳しい説明があります。
http://www.kosanji.com/chojujinbutsugiga.html
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★枯山水施工の様子
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フランチェスコ氏
「牧岡先生と増井氏の指導の下、施工の3日間は大変厳しい仕事でしたが、私にとっても多くの学生にとっても有意義且つとても濃い時間でした。
このプロジェクトは東日本大震災の起こる数か月前に立上り、日本が大変な時期に施工しました。ですから復興を願ってのプロジェクトと言う気持ちが強くありました。」


★枯山水の中心に位置する鶴島と全景です
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★枯山水を見下ろす大刈込(この地にあう植物で構成)
これは先生の考案によるもの、大刈込の間を川を見立てて石を配しています。また池泉庭園より枯山水を臨むと、亀島と鶴島、水の繋がりが伝わってきます
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2011年4月1日に日本領事参加のもと落成式を行いました。快晴の枯山水庭園に再び動物たちが遊びに来ました。
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取材を経て、サンレーモと熱海市が姉妹都市と知り、音楽祭で有名な地に日本庭園が存在することを知りました。ヴィラ オルモンドは地中海の植物、ヤシ類や色彩豊かな花で溢れた植物園的なガーデンがあり、その奥に静かな枯山水と池泉庭園が広がります。メンテナンスの難しさもありますが、年月が経っても美しさを保ち続けてほしいと願います。

日本の庭園学を学び続け、イタリア国内で発信をするフランチェスコ氏のますます活躍する姿を取材できたらと思います。と同時に、自分自身、日本庭園についての知識の少なさについて反省しなければなりません。

Grazie infinite a te Francesco Merlo per l’intervista molto interessa.
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今回はピアモンテ州トリノ(2006年冬季オリンピックが行われた街)の郊外にあるPinerolo(ピネローロ)という町でランドスケープデザイン事務所を営む友人の紹介です。AndreaVigetti(アンドレア・ヴィジェッティ)氏とFrancesco Merlo(フランチェスコ・メルロ)氏の2人によるユニットです。ここは町の中心にChisone(キゾーネ)川が流れ、自然保護地区に包まれた豊かな環境です。
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事務所の庭は日本庭園をアレンジしています。写真を拝見しただけではイタリアだと思えないほど!
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VigettiMerlo HP
http://www.vigettimerlo.com/index.html

★Andrea Vigetti(左)&Francesco Merlo(右)
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アンドレアとフランチェスコは1997年にトリノ大学農学部で出会い、一緒に卒業後、同大学のマスターコース“Progettazione del Paesaggio e delle Aree Verdi(風景と緑環境における設計デザイン)”に進み、ランドスケープデザインを学びました。
2人とも2003年より同学部で教鞭をとる一方、2006年より事務所を立ち上げ個人からパブリックスペースまで緑の環境デザインを手掛けています。
2013年にはScuola Agraria del Parco di Monza(モンツァ市にある歴史の長い緑環境を教える専門学校)よりコンタクトがあり
教え始めました。屋上緑化や壁面緑化技術、ガーデンデザインに加えCADの授業も教えています。
また同大学と連携し、マッジョーレ湖畔の歴史ある庭園にあるツバキやツツジの原種の研究および開発、ピアモンテ州に生息する18世紀代からのシャクナゲ種の研究も行っています。

トリノ大学農学部
http://www.disafa.unito.it/
モンツァ市専門学校
http://www.monzaflora.it/it/

フランチェスコ氏は日本庭園に大きな興味を抱き、2005年に来日、京都にあるResearch Center for Japanse Garden Art di Kyoto(日本庭園リサーチセンター)にて日本庭園を勉強、その後も来日して庭園師のもとで研修経験を積みました。現在はトリノ大学で日本庭園の心、手法など特化した内容も教え、イタリアに和のデザインを広めています。最近は講義の依頼も増えているとのこと、日本庭園への興味の高さが伺えます。
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フランチェスコ氏
「私は少年時代、13-14歳頃に「ベストキッド」を見て背景に映っていた美しい日本庭園や盆栽に惹かれました。これが私と盆栽との出会い、それから盆栽に魅了されスクールに通ったりナーサリーや山の中で見つけた植物を育てたりしました。どんどん植物の世界に入り込んだ私は言わずもがな、農学部へ進みました。
在学中も盆栽を育て続けていましたが、この美しく独創的な樹形を活かしている日本庭園にも強い興味を持ち始めました。卒業のお祝いに両親から日本への旅行をプレゼントされました…2002年のことです。京都ではこれまで書籍でしか見たことのない日本庭園の数々、配置も空間の使い方もイタリア、フランス、イギリスなどのヨーロッパの手法とは全く違うその場所に包まれ感銘を受けました。もう一つの大きな目的、盆栽作家の木村氏にお会いすることが叶いました。
帰国後、日本庭園に対する気持ちがどんどん強くなりました。ランドスケープのマスターコースに進みながら、日本庭園の独学を始めました。でも書籍だけでは限界がありますよね。3年後の2005年に京都へ再訪を決めました。「日本庭園リサーチセンター」で外国人向けのコースがあって、15〜20日という短いコースでしたが、内容は非常に濃いものでした。ここでたくさんの人と出会い、たくさんの庭園師と知り合いました。その中の1人、牧岡一生先生が研修の受け入れを申し出て下さり、2007年に1ヶ月ほど彼の下でスタッフとして造園業務、メンテナンス等を学ぶことができたのです。」


フランチェスコ氏と私を繋いでくれたのは奈良で造園業を営む増井サチミネ氏、十数年来の友人です。増井氏はイタリアで日本庭園の本を出版しました。その書籍を見てコンタクトをとったフランチェスコ氏と知り合い、増井氏はフランチェスコ氏を通じて牧岡氏とも繋がり、その後、牧岡氏と共にフランチェスコ氏のプロジェクトに深く関わることになります。人の縁の大事さを感じます。

フランチェスコ氏

「京都における研修経験をきっかけに翌年にはトリノ大学で牧岡先生に講義をお願いし、その際、既に友人であった増井氏に通訳を依頼し、大変有意義な授業を受けることが出来ました。その後イタリアから学生と専門家合わせて30人の京都、奈良、金沢ツアーを行うことが叶ったのです!2人のおかげで貴重な日本庭園に出会え、さらに2日間の実施体験として小さな枯山水庭園を施工、これは本当に素晴らしい経験でした。その後も数回、トリノでの講義をお願いしています。
日本庭園の理解は日々勉強が必要です。特に私は借景や縮景の手法、その中で特に「隅掛け」「雁行」を深く学びたい。今、書籍の出版計画も進めています。日本庭園は灯篭、蹲や紅葉、松や竹林を並べるだけではない…その空間の作り方に意味があるのだということを伝えたいのです」


※牧岡一生氏は海外でも数多くの日本庭園を手掛けています。
http://www.teishamakioka.com/
※増井サチミネ氏のHPはこちら
http://www.sachimine.com/welcome.html

昨年の秋にモンツァ市の専門学校で実技演習を行いました。
フランチェスコ氏
「小さな枯山水の模型を砂と石で作製することで学生たちは空間を理解していきます。シンプルな作業に見えますが、この作業で空間をつくる形そのもの、岩の組み方、大きさ、動きのある繋がりなど細部まで把握でき、重要なことなのです。教室での講義の後、実践演習にうつりました。今回は真・行・草の教えに基づいた手法で実際に園路をデザインし施工しました。真の入口、行の渡り、草を終点として、三つの章を物語る庭です。」

★模型をつくっている様子
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★真行草の庭施工中
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★踏止石(関守石)のある切石敷が厳格な「真」を表現
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★「行」を表す延段
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★「草」のくずしを表現する飛石と手作りのモダン灯篭、蹲
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フランチェスコ氏
「牧岡先生から学んだ技術、実践、美しい手法を学生たちに伝えていきます。真の日本庭園に触れ、借景、真似、縮景の手法は全てのガーデンデザインに値するもので、どんなタイプのデザインにも取り入れることができる芸術だと思っています。重森三玲氏の遺作となった松尾大社の松風苑三庭、特に枯山水と立石の使い方に感銘を受けました。私たちは日本庭園を一から造り上げた経験はまだ少ないですが、この手法をさらに自分のものとして極めていきたいと思います。おそらく来年からこの専門学校でも日本庭園学を続けて教える方向です。単発の実技演習は大変好評でしたので、コースとして進めていければとても嬉しいですね」


次回は、フランチェスコ氏が牧岡氏、増井氏と共に造り上げた日本庭園プロジェクトをご紹介します
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遅ればせながら本年もよろしくお願いします。
このブログに偶然にでもいらした方、イタリアのランドスケープにご興味のある方、楽しく読んで頂ければ嬉しいです。

現地のデザイナーさんのご協力でメール取材させて頂いたり、雑誌を切り抜いたり、遠距離ではありますがゆっくり焦らず・・・のブログです(笑)

筆者は昨年より水墨画をはじめました。
懐かしいイタリアの風景を描いてみています。
★Duomo a Firenze
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★Ponte a Venezia
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★l'artri(初夏の出展にむけての練習です)
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