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Giardino BARDINI
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公式HPよりPDFで取得できます

ジャルディーノ・バルディーニはフィレンツェの中心街を見下ろす斜面地にあります。2000年より5年かけて修復し、一般公開を果たしました。今も尚修復中ですが、メインガーデンは圧巻です。

修復にあたりガイドラインが設定されました
◆バルディーニ家の意向に基づき、出来る限り原型に近い形で保全修復する
◆公開ガーデンとして新しさも必要だが、歴史と過去に存在した姿を継承する
◆この地に残されている財産、感性を引き継ぎ、原型を保ちながら新しい素材やデザイン、植栽を施す

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1200年代後半に生まれ、フィレンツェ市所有時期もあり、歴史と共に何度もオーナーが変わりました。変わるたびに敷地形状やデザインが変更になり、最終的にはバルディーニ家の所有、今日ある姿の原型となりました。
バルディーニ家は当時、ガーデンを3つのエリアに分け、イギリス風の森、バロック調階段、農村公園としました。森の中は修復中に発掘調査をし、この地に水道が引かれていたこと、ヨーロッパでは珍しいアングロチャイニーズガーデンの存在があったこと、エキゾチックな龍のオブジェがある水景施設が確認され、忠実に修復されました。
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バロック調の階段は壊れた壁、彫刻、壁泉も過去の書物の紐を解きながら修復されています。
アイリスの花壇やバラ園も再現できたといいます。
荒れてしまった農村公園を剪定していくにつれ、果樹、テラスや装飾を施された円形広場、ベンチなども発見され、丁寧に修復されました。大きな発見はエルメス像のニッチが残されていたことです。
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修復にあたり、新たに藤のパーゴラがおかれました。ルネッサンスガーデンの面影を感じるために・・・
またバラのコレクションや牡丹、ガマズミなどの新種も植えられ、将来への成長が楽しみです。

最頂部からはアルノ川を見下ろし、フィレンツェ市街が一望できます。
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写真ではなかなか迫力が伝わらないかもしれませんが、メインガーデンが見えた瞬間、その姿に溜息が出ました。迫る斜面を目の当たりにして、これを上るのか・・・いや上らなければ!という気持ちが入り混じる不思議な魅力を感じました。

つづく
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JDN47 アバクロンビー&フィッチ パリ店の大きな壁面緑化

ニューヨークが拠点であるファッションブランド、アバクロンビー&フィッチ(以後A&F)パリ店の見事な緑の壁をご紹介します。
デザインはニューヨーク在住の女性ランドスケープアーキテクトのクインシー・ハーマンド氏、彼女の繊細で美しいデザインを形にしたのはアンドレア・マーティ氏(PianteMati)率いる施工担当者たちです。
ネオクラシックのフォーマルガーデンをコンセプトにした今回の作品、通常こういったクラシックガーデンは長い年月をかけて少しずつ構築し美しさを保つものなのですが、アンドレアたちは数か月で完成品を仕上げました。
特筆したいのは6メートル~12メートルもの高さの壁への大きな壁面緑化、面積にして約1000㎡を50000ポットのアイビーで包んだことです。これはPOLIFLORと共に研究を重ねて作り上げたものです。

2011年5月に完成し、パリの有名なシャンゼリゼ通りにオープンしました。
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アンドレア氏
 「このプロジェクトはA&Fの指名コンペにて取得したものです。施工期間は秋から冬を経て春の竣工、植物にとっても厳しい季節でした。非常に難しく複雑なプロジェクトでしたので、高度な技術とそれを扱うレベルの高い職人総出で取り組みました。その結果がこの美しい仕上りです。また700㎡ほどの庭園はA&Fの美しい店舗を惹き立てる大事な場所であり、来店客は必ずここを通ってお店に入りますので素敵な緑のエントランスアプローチが必須でした。何といっても毎日5000人という来客数ですから!」


シャンゼリゼ通りに面した門扉より続く長いアプローチを経て、店舗に到着します。
壁面緑化の高い壁と手前の生垣、2重の緑がアプローチに厚みを持たせ、訪れる客たちは中が見えないワクワク感を味わいながら歩き、庭の奥に見える更にゴージャスな玄関に迎えられます。
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何もなかった壁に緑を這わせ、短時間で成長を遂げる技術と努力が想像されます
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JDN46 ローマバラ国際コンクール

Premio Roma per Nuove Varieta di Rose
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1933年からローマ市で続く伝統あるバラの国際コンクールには、毎年ヨーロッパを中心に世界各国から新品種が出品されています。初回のコンクールは別の場所で開催され、1950年から現在開催されている場所のIl Roseto Comunnale(ローマ市立バラ園)に移りました。
バラの成長過程なども審査の対象となるため、1年間、常に観察が必要とされます。審査員はバラの専門家はもちろんのこと、建築家、造園家やアーティストなど多方面にわたるメンバー約100名、それぞれの視点で個性的な審査が行われます。
日本からも植物専門のジャーナリストや植物研究者が名を連ねています。
さらに“幼苗”や“香り”など特殊な審査を行うメンバーがこの中から別途選出されています。
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審査部門と概要はこのような内容がベースになっています。
HT部門
バラの新種のひとつで大輪、四季咲き、香りが強く、1本の茎に1つの花という特徴がある。黄色や青など珍しい色の品種改良も盛んに行われている。

群咲種部門
HT種と相対して、1本の木にたくさんの花が咲く種類(多開花、クラスター)で通常、花はHTより小さめ、ボリュームも低木程度のものが多い。

灌木部門
公園やガーデンに相応しい種類という意味で、コンパクトで美しい形、花だけでなく葉や枝張りの密度、1年間に数回咲き続けるかどうか? 病虫害の抵抗力などが審査対象である。また花についてはピーク時の美しさだけではなく、花が枯れる時期も重要で、落ちる花びらの美しさもこの部門では大切な要素であるという。

パティオ/ミニチュア部門
鉢や小さなスペースでの栽培に適した種類

グランドカバー部門
低木よりさらに低く、グランドカバーとしての這性バラ種

子供審査部門
ローマ在住の子供たちの目で美しいと感じる花を選出することで世界のバラに触れてもらおうという試み

香り部門
花の香りの良さに特化したもので、花の形状や色は審査の対象にならない。

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審査日の夜は表彰式を兼ねたディナーパーティが行われました。
司会を務めたGianni Alemanno氏:ジャーナリストによる公開写真はこちら
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JDN45 EuroFlora 2011 エウロフローラ

5年に1度、ジェノバで開催される花の祭典エウロフローラの誕生は1966年でした。
以前から開催されていたベルギー、ヘントの祭典floralies of ghentからインスピレーションを受け、わが国でも!と企画され、開催に至ったものです。
ヘントは「花の都市」という別名をもち、floralies of ghentはエウロフローラの100年以上も前1808年に誕生した歴史の長いイベントです。

 誕生から早45年、エウロフローラはイタリア国内での地位を確立してきました。最初は花卉業界、切り花を中心とした屋内展示(フラワー部門)が中心でしたが、徐々に屋外展示(ガーデン部門)も発展し造園業者、生産業者の活躍の場が増大してきています。最近ではガーデン部門を目的に訪れる人が多く、エウロフローラの重要なポジションとなっています。


初年度からこの祭典に参加しているPiante MATIのFrancesco氏に話を聞きました。
 「エウロフローラはイタリア唯一の国際的な花卉・造園イベントと言ってもいいでしょう。小さな市場のようなイベントは国内でいろいろありますが、この規模はここだけだと思いますね。初回の祭典はピストイア代表として数社がグループになって参加し、父Miro MATIが中心になってプロジェクトを進めました。初回の金メダルの中心は“美しい庭のプロジェクト”と“植物のクオリティ”でした。
その後我々は、ほぼ毎回ピストイア代表として出展し、多くのメダルを獲得し続けてきました。金メダルには多くの項目があり、植物そのものへの金メダルもあります。例えば、一番美しくクオリティが高いマグノリアに与えられる“マグノリア賞”、同じ意味で糸杉には“チプレッソ賞”と、数えきれないほどの賞名があるんですよ。」

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2011年Piante MATIは、イタリア農務省(農業省)のための庭園を出展しました。
「今年、我々が農務省のためにデザインしたブースをご説明しましょう。
コンセプトは“イタリアの植物の魅力とクオリティの紹介”です。実際に、我が国の北から南、全土で生産されている代表種をレイアウトしました。樹木から地被類まで、生垣、ハーブや園芸花卉、観賞植物、柑橘類など、また特質な地中海性植物や適酸植物(アジサイ科、アザレア・ツツジ科、アセビやカメリア・ツバキ科)や装飾の代表であるトピアリー(ツゲ類・イチイ類)など、イタリアの植物を来場者に見てほしいというアイデアからきたものです。」

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その他たくさんの展示やイベントが行われ賑やかです
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JDN43 トスカーナの屋上庭園、屋上緑化事情

イタリアにおける人工地盤上の緑、特に屋上やバルコニー事情についてPiante Matiのフランチェスコ氏を取材しました。プロに委ねる屋上緑化、庭園の仕事はまだ少なく、そのほとんどは植栽工事、それも花壇を作るのではなくプランターを並べる程度が主流だそうです。
それでもPiante Matiは国内外の人工地盤の緑を手掛けるメーカーと新しい試みを進めています。

幾つかのプロジェクトを紹介して頂きました。
モンテカティーニ(トスカーナ)の個人邸テラス
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フィレンツェの屋上テラス
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「私たちの提案は、テラスの内側を包み込むように植物を配し、成長を促すことです。生垣のように見せるため、セイヨウヒイラギの鉢を外周に並べます。花をたくさん咲かせ、鉢を覆う勢いで成長する種として、アベリア、セアノサス(カルフォルニアライラック)、這性ローズマリー、花期が長く白からピンクに変わっていく様が美しいエリゲロン・カルビンスキアヌス(ゲンペイコギク)などをベースに多くの種類を計画しています。」

プラートの屋上テラス(07-08設計・施工)
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