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★ Terrazzi e Balconi テラスとバルコニー ★
何度かご紹介中のイタリアのガーデン雑誌「gardenia ガルデニア」の臨時号で人工地盤上のガーデンデザイン特集誌があります。
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今回はその中から・・・
<フィレンツェの中心、花の大聖堂を一望できる屋上庭園>

城壁内の歴史保存地区Centro(チェントロ)は石壁の続く路地、どの建物もびっしりくっついて内側がどうなっているのか分からない印象だと思いますが、大きな集合玄関の扉を開けると、想像もしなかった風景に出会うことがあります。建物はコの字、ロの字、よく見るのは駐車場やただの石畳でがらんとしている景色ですが、美しく作られた庭園だったり、大きなシンボルツリーがある中庭だったり・・・するととても嬉しくなります。
このように外部からは全く見えない場所が美しい造りでビックリする場所、これは屋根の上、屋上にも存在します。私が住んでいたアパートは3階でしたが、エレベーターはそこまでで、更に階段で上がる4階に屋根裏部屋的なアパートメントがあり、小さくてかわいい花いっぱいの庭がありました。下からは全く見えず、お邪魔した時にはビックリしました。チェントロ内の小さなホテルも素敵な中庭がある所や、川沿いのホテルは風景を楽しめるテラスをもつ所も少なくありません。旅行の際は是非、素敵な発見をしてください!

これからご紹介する掲載記事の屋上テラスもおそらく外部からはほとんど見えない場所でしょう。
シニョーリア広場のPalazzo Vecchio(ヴェッキオ宮)に隣接するPalazzo Gondi(パラッツォゴンディ)は1501年完成のルネッサンス建築、設計はGiuliano da Sangallo(ジュリアーノ ダ サンガッロ)によるものです。彼はVilla Medici(ヴィラ メディチ)、Palazzo Strozi(ストロッツィ宮)なども手掛けた有名な建築家です。この建物には数か所の屋上庭園があるようですが、今回の掲載記事はその1つが紹介されています。
写真をご覧頂く通り、花の大聖堂、鐘楼が目の前に見える秘密のガーデンです。わずか30㎡の小さな屋上庭園にはPietro Porcinai(ピエトロ ポルチナイ)のデザインが凝縮されています。
Sala da Pranzo(大切なお客様と食事をする応接間)に面した特別なテラスとしてトスカーナ伝統芸術を引き継ぐデザイン手法を見せています。ポルチナイ氏は決して妥協せず、施工者にもかなり厳しいことで有名でした。作品への情熱と拘りは植物やその配置にも表れています。
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1977年、Gondi家の末裔と会い、この息をのむような借景をいかすデザインを施しました。
風景に向かってコの字型ベンチ、石に線を引いたような座面はPietra Serena(ピエトラセレーナ:グレー砂岩系、建築外壁、舗装、彫刻などに使われる)、立上り面は数種の色の川石を混ぜて手作業で貼りつけています。
舗装は赤いレンガタイルを斜め貼り、シンプルなデザインですが、借景を取り入れる大事なシンプルさですね。
左右側面には1.8mのメッシュフェンスを設置、成長の速い蔓性ジャスミンやアイビー類、ツルアジサイを混植して背の高めにしたのに対し、正面はドゥオモと鐘楼が美しく見えるラインに合わせ低めに設定、ベンチに近い手前には白花と濃桃花のグラデーションが美しい地被ペラペラヨメナ(メキシコヒナギク)を植え、奥には最初はトベラの軽い刈込みを考えていましたが、後にキンモクセイ、ツルバラと赤紫のライラック、真っ白なイベリアを選択しました。
現在は手前にカラフルで花期の長いダリア、橙系のランタナ、シルバー葉が美しくイチゴの香りがする実をもつフェイジョアになりました。この環境に適しているようです。
もちろんポルチナイ氏のデザインコンセプトを継承し美しくメンテナンスされています。
ベンチの両角には貴族が愛し、その証ともなっている動物「犬」をテラコッタオブジェで表現しています。
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当時においてはかなり前衛的な灌水装置も設置されており、今では植物群で見えなくなりました。照明は2ヶ所、窓の上部分にポルチナイ氏がデザインした鐘形のライトが設置されています。

Pietro Porcinai(ピエトロ ポルチナイ氏 1910-1986 )
http://pietroporcinai.it/
1900年代のランドスケープアーキテクト、造園家として有名。当時彼のような存在がいなかったため
誰も彼もがデザインに影響を受けてきました。現在のデザイナーたちに聞いてみると、彼は大きな存在で、尊敬すべき第一人者であるが、この分野も歴史を経て成長を遂げ、新しいデザインや試み、個性的な人材もたくさん出てきています・・・とのことでした。本屋さんには彼の著書、作品集も多く売られています。建築家友人にも
同業者なら一度は見てみたら?と勧められました。HPには彼の作品が息子さんによって多く紹介されています。



おまけに・・・
私もアパートメントからドゥオモが眺められる中心地に住んでいました。近くにいくつか小さなホテルがありました。路には石壁と同じ色の館銘板に名前があるだけ、呼び鈴を鳴らさないと入れないため、ピンポーンとするには勇気がいりますが、中に入って部屋を見せてもらってから宿泊を決めることも古い街では大切なこと、最近はガラス戸になっていたり開放的ですし、見せてくれるのは当たり前、お湯が出るかの確認もさせてもらえます。

今は日本のガイドブックでも多く紹介されている四つ星ホテルMonna Lisaは(私の住んでいた所から近い)Borgo Pintiという長い路地から入ると想像もできない大きな中庭に出会えます。

左:ピンティ通りは壁に挟まれた細い道が続く
右:ホテルのレセプションから路地を見る
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左:レセプション
右:中庭への扉、部屋の中にモナリザの絵が見える
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自宅のリビングのようなレセプション
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外からは全く想像できない緑豊かな中庭
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Monna Liza(モンナリザ)
http://www.monnalisa.it/
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