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Bell’italia Toscana
http://www.cairoeditore.it/Bell-Italia/

イタリアの雑誌社Cairoeditore社の発行する月刊誌Bell’italiaのトスカーナ版、特集号で発行されました。
毎年5月に発行されるようです。他にもイタリアの美しい風景を多く特集しています。
またBell’europe(ヨーロッパ版)、in Viaggio(旅行誌)、Gardenia(ガーデン)など魅力的な雑誌を低価格で発行しています。
今年の5月号で特集された記事の一部を簡略化してご紹介します。
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Villa Peyron(ヴィラ ペイロン)
http://www.bardinipeyron.it/ab/cont__96.phtml(Photo gallery)
ここは、以前ご紹介したVilla Bardiniと同じ財団の管理下にあります。Villa i Tatti(ここもご紹介しました)とかなり近いので、本当は同日に訪問したいとメッセージを送ってみましたが、日時も合わず最低人数(5名以上)も満たせなかったため断念したヴィラです。
春には無料自由公開日を数日設けるようですが、見学者が殺到して長蛇の列をつくると聞いています。
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■独創的な収集家の庭
このヴィラは約半世紀に渡りPaolo Peyron(パオロ・ペイロン)氏の所有、かなりオリジナル性の溢れる場所だったと書かれています。ピエモンテ出身の企業家、実業家であるペイロン氏はトスカーナの風景を気に入り、この地に根付き、個性的なヴィラを確立させていったそうです。庭園や敷地内の森も含め、モニュメンタルでシンボリックな場所になっていて、ミュージアムのような装いはオリジナル性が高いと大袈裟な表現ですが、それだけ個性的な場所なのでしょう。
第二次世界大戦後、ペイロン氏は人生をかけてヴィラの装飾に没頭しました。
彼の遺書には10年後もミュージアムや庭園の美しさをこのまま残すよう条件付きで寄付をすることが記されており、死ぬまでこの場所を愛し抜いた彼の強い想いが伝わります。
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■ペイロン氏のコレクション
敷地は約50ha、フィエーゾレの丘からアルノ川に向かって緩やかな傾斜があります。美しい風景の中で遺書通り、彼の意思を残しているヴィラではありますが、時代遅れさや個性的すぎるデザインやコレクションは理解が難しいという意見もあるようです。
生涯独身で孤独を愛しながらも、知人にコレクションを語り続けるのが好きなペイロン氏、ほとんどの財産を高価で貴重なコレクションに費やしていきました。そのコレクションをどう配置するか、彼にとって意味を持った配置、納得するまで何度も並べ替え、喜びを感じていたようです。
ヴィラ内は現在も当時の様子が想像できるような骨董品が残されています。例えば100台以上の壁掛け時計、全てかなり珍しい品であり世界に一つしかないものも多い貴重なコレクションですが、ヴィラ内の重要な場所に全て配置し、毎日全部のネジを回していたようです。この作業、どのくらいの時間がかかるのでしょう!アンティークならではの難しさ、壊れやすい造りです。彼にとって装飾の意味だけではなく生活の一部となっていました。
その他、ラリックのアンティークガラス、貴重なコレクションを保管する宝石箱(これもアンティーク)、象牙の装飾品など約1700の財産目録が残されています。「パオロ博士」と呼ばれ、ひとつひとつ全て自分の目で確かめて購入し、その執念は異様な変わり者として語られています。
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■庭園のデザイン
この個性的すぎる美への執着は庭園にも続いています。大きく3段構成になっている庭園にデザインされた小路は行き先に向かって延びています。ペイロン氏が特に好んだ「お茶の庭」では桃の香りを友にお茶を楽しんだ場所、「音楽の広場」や「談話の角庭」、他にはパーゴラの園や日本庭園風の池などもあります。全て彼の中にあるルールに基づいてデザインされており、ルネッサンスのデザインに反し、幾何学的ですがシンメトリーな部分は一切無いというのが特徴です。
デザインベースがアシンメトリーである庭園では“すべて異なるもの=調和”が正解、秘密の園の中に宝物が見え隠れするといった意図があるようです。永遠に抜けられない迷路、深い森(ではあるが、光の噴水と反対のイメージの名前がついている)なども面白い考え方です。
ヴェネト地方などから集めた約200体の彫刻が柱の上に飾られているのですが、全て台座の高さが違うように造らせたという拘りようです。
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実際この庭園を見学できる機会があれば、上記の記事内容をどこまで自分が感じ取れるか・・・楽しみです。
幾何学的な庭園は、何も知らないまま見学すれば、どれも似たり寄ったり、違いが分からず飽きてしまうものですが、少しだけでも庭への思いや持主の考え方を知ると、興味深く見えてくると思います。
この記事の写真などだけ見ていても、アシメトリーさや持ち主の拘りは簡単には伝わってきません。
やはり見学に行かなくては!
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