カテゴリ:LAVORO(仕事)( 33 )

Centro Congressi in Sicilia シチリアのコンベンションセンター vol.3
最終回です。

~ランドスケープ&ガラスハウス~

ジュセッペ氏を通じて、敷地全体のランドスケープデザインを手掛けた事務所を取材をしました。
B ‘JORDI BELLMUNT ‘AGATA BUSCEMI ARQUITECTES
http://www.jordibellmunt.com/
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ジョルディ・ベルムント氏(スペイン)とアガタ・ブシェーミ氏(イタリア)のユニット、事務所はバルセロナにあります。
アガタ氏はカラブリア出身、建築を学びスペインへ渡り、ジョルディ氏とタッグを組んでいます。スペイン国内だけでなくイタリア(特に南エリア)、キューバなど国際的に活躍するアーキテクトユニットです。

この作品について語って頂いたこと…彼らの思いを竣工写真と共にご紹介します。

★コンセプト
「ボタニカルガーデンとしてのプロジェクト、シチリアの伝統的な風景の特徴(環境や社会的条件の面からも)を知り表現することが、現代のデザイン要素を検討する上で重要なことでした。機能的な役割をもつ場所として、この地の資源を最適に利用し、省エネやリサイクルを考慮、教育や研究の場としての活用などを踏まえたデザインを進めてきました。
このコンセプトに基づき、RADICEPURAはシチリアの文化を伝える風景と生物多様性、生態系の保全を考慮した国際的な中心となるボタニカルガーデンを目指しています。」

●vol.1でご紹介しましたマスタープラン
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★ゾーニング
約4.5haの敷地は大きく2つのエリアに分けて考えられています。ひとつは原風景をコンセプトにしたエリア、様々な自然のシーンを見せ、自然教育プログラムに則り人々が風景の中を探索できるデザインとしています。
もうひとつは人に近い造景エリア、建築デザインと繋がっています。技術革新、例えば効率性、持続性をうたうような新しい試みを備えたデザインにより、教育、文化や娯楽などイベントの場として集客を目的としています。
両エリアの考え方、「自然と幾何学」、「風景の中の造景デザイン」というようにコントラストを活かしたランドスケープを造り上げています。

●ゾーニングプランとフェーズごとの成長過程
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★デザインの考え方
国際的に地中海風ガーデンは注目され、多くのオファーがあります。同時にガーデンに使う特殊な植物や樹種を探す顧客も増えていますね。このプロジェクトではかなり多くの亜熱帯植物を植えました。多くの人の目に留まるよう植物園のような場所でありたいと思っています。
ランドスケープデザインにおける4つの目的として以下を挙げます。

01.生産の場所、常に自然を生み出す場所であること
02.敷地全体の価値をあげること
03.既存の自然の把握と再活用、両方の場であること
04.新しい技術を利用した風景の維持を促進すること

●水面と光のデザインで新しい場を見せ、植物でシチリアの風景を見せています
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★今後の展望
ボタニカルガーデンには、いつでも一日中利用できる柔軟性のある場として、ここに根付く資産の再利用と観光客増大による土地の評価向上を目指しています。そのため、ここで提供するサービスや文化活動のレベルアップが常に必要だと考えます。
RADICEPURAはナーサリーを併設した新しい集客施設として魅力のある場所になるはずです。周囲の自然環境の中で植物を見ることで、より木々の美しさが伝わる相乗効果が期待されます。それだけでなく、社会的、文化的な活動の向上に繋がります。観光は観光、自然は自然のように分離せず考えた場として人々を魅了したいと願っています。

●昼景と夜景の魅力を考えたトータルデザイン:ガラスハウスへのまっすぐな動線
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●昼景と夜景の魅力を考えたトータルデザイン:水面を大きく見せる
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●HPより抜粋させて頂きました:アラブ人建築家に設計されたガラスハウスです
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温室は植物を展示してみる場所という在り来たりのイメージではなく、緑の中でイベントや会議が出来るのは楽しいですね

●HPより抜粋させて頂きました:中庭や水の庭も使ったパーティは魅力的です
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Radicepuraムービー:夜の景、ムードたっぷりのテーブルコーディネート、行きたくなります
https://www.youtube.com/watch?v=evCw_2XJ0s0#t=65

3回にわたりシチリアの作品をご紹介しました。私自身、シチリアに足を踏み入れたことが無く、どんな場所か大変興味があります。イタリア人に「シチリアはイタリアではない、別の文化があり別の国ともいえる」と言われたことがあります。島ならではの文化、言語、食が発展しているようです。街によっても全然違うとのことです。一度は行きたいと思ってはいましたが、今回の取材を経て、自分の足で訪れたいなという気持ちが再燃しました。
ジュセッペ氏の作品はコンペでも賞を多く受け、シチリアの風を本土に吹き込んでいます。また彼の作品を取材したいと思います。
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前回に引き続き、シチリアのコンベンションセンターの記事です。
第2回目は、修復された建築の内部を紹介します。

建物は19世紀(1800年代)のものです。大きく3家屋に分かれ、修復前の雰囲気を伝える修復が施されました。
名称も過去の姿を物語っています。
●Il Palazzo Nobilare(貴族の館)
●Il Palmento del Padrino(ゴッドファーザーの粉挽き場:ワイン貯蔵庫)
●Le Scuderie del Barone(男爵の馬小屋)
日本語ではなかなかピッタリな言葉が表現できず…ですが、どれもイタリアならでは!という名称です。
「ゴッドファーザー」の名がつく理由は、以下読んで頂ければわかります!

★計画プラン
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★修復前の実測図:出来るだけ残す方向の修復だとわかります
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それぞれに特徴のある部屋、スペース、大小さまざまなイベントに対応しています。
家族単位や少人数で開催するパーティは「貴族の館」、ちょっと雰囲気を変えて、面白い空間を希望であれば「男爵の馬小屋」、大人数の結婚式やイベントであれば「ゴッドファーザーの粉挽き場」、こちらは木造の大屋根、1階フロアには地下のワイン貯蔵庫の景が見えるよう床にガラスをふんだんに使いました。貯蔵庫のイメージをそのまま、こちらも会議からパーティまであらゆるイベントが開催されています。

ジュセッペ氏
「粉挽き場+ワイン貯蔵庫」の建物はアンティークとして貴重なものでした。出来る限りそのままの状態で保存修復しました。ワイン製造のためのデカンテーション、水路などもそのまま活用しています。その姿がよく見えるよう、1階の床は強化ガラス張り、地下の様子が伝わってきます。」


この映像に、ワイン製造エリアが出てきます。
http://vimeo.com/40991438
本人の解説付きです(イタリア語)

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「ゴッドファーザーの粉挽き場」は当時の粉挽き器具が残っており、個性的な姿が印象的です。ワイン製造工場の様子も当時の様子が伝わってくるようです。

★木造屋根と粉挽きの器具をそのまま活かす(修復前:上2枚、修復後:下)
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そして前回の記事の際には私もまだ知らされていないビックリな内容があります。それは修復前の館、有名な映画「ゴッドファーザー」のロケ地であったこと!です。日本からもロケ地周遊ツアー、プライベートツアーがあり、ゴッドファーザーファンを魅了する旅企画があった(現在もある?)と思いますが、この場所は「カターニャ近郊」というミステリアスな表現、そんな場所を取材できたことに感謝します。

ジュセッペ氏
「この古い館、実は映画「ゴッドファーザー」のロケ地です。南のバルコニーは撮影当時、映画のために少し広げる突貫修復工事をしたようです。我々は出来るだけこのまま残したいと強く感じながら丁寧に修復をしています。
1800年代建築のリフォームですが、新しいデザインを「価値」と捉えています。特徴のある建築の機能、維持管理など問題定義及び解決策が必要でしたので、構造、デザイン要素などの詳細な分析を行い、現代建築のカギとなる再利用、再活用に則り、建材、構造材など壊さずに出来る限り利用することにしました。また新しさを強調するものとして階段や踊り場の手すりなど主張するデザインを入れ、建物の中での新旧を繋ぐ役割をしています」


★新しいデザインを取り入れた「貴族の館」の手摺
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温故知新の考え方、古き良きものを現代に伝えながら新しい挑戦のデザインを融合させています。この建物1800年時代(19世紀)のものとのことですが、持ち主はシチリアでもっとも有名と言われる貴族のファミリーでした。

ジュセッペ氏
「この館に携わる者にとって、ここにある歴史や由来を知るのは大変興味深いことだと思います。
数世紀さかのぼった当時のオーナーはペンニージ家のファミリー、大地主でした。その後年月を経て、一部分割や譲渡されながら現在の持ち主に引き継がれてきました。
歴史的観点から見ると、19世紀中旬から終期にかけ、建物自体も増築を重ねています。ペンニージ家から別の貴族(封建領主)に相続され、シチリア出身の建築家によって再構築されていきました。
最初はおそらくメイン館のみで、1階だけ、その後時間をかけて粉挽き場(+ワイン製造・貯蔵庫)や厩舎(馬小屋)が増築されたようです。続いて2階部分が増築され、私たちが修復を手掛ける前の状態になりました。」


★ジュセッペ氏によるエスキース
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「貴族の館」はモザイクの床が美しく、部屋ごとに模様も違い、個性のあるものでした。アンティークな素材を活かしながら、有機的なラインの手すりなどを組合せ、館の中が生まれ変わりました。

★アンティークモザイクが美しく残された(修復前:左→修復後:右)
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★修復後のレセプションルームと化粧室
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厩舎「男爵の馬小屋にはかなり珍しい溶岩石の柱が並び、馬を一頭ずつ分割する仕切りが残っていました。床の玄武岩舗装もそのまま使い、ここはほぼそのままの姿を見せるようにしました。現在は受付/レセプションとしてお客を迎えています。

★男爵の馬小屋
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まだまだ聞きたいことはあるのですが、出来れば実際の姿を見て・・・シチリア島を訪問する夢の実現を目指して!!
その時まで取っておくことにします。

以下の写真はRADICEPURAのHPより抜粋させて頂きました。
こんな感じで使われています。
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次回は最終回、バルセロナのランドスケープアーキテクトユニットへの取材内容を載せたいと思います。
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前回、雑誌記事を紹介したシチリアのコンベンションセンター(イベントホール)を手掛けた建築家Giuseppe Scanella(ジュセッペ スカンネッラ)氏が取材に応じてくれました。スタッフのTiziana(ティッツィアーナ)さん、お忙しい中ご対応ありがとうございます。
Vi ringrzio per l’intervista!! Arch.Giuseppe Scannella & Dott.ssa Tiziana Longo!!!

★中央にジュセッペ氏、素敵なスタッフとのショット
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南の島の農村、元々のオーナーは植物園かナーサリー(種苗園)を営んでいたと見られます。この地の樹種がたくさん配列され栽培されていた形跡があり、柑橘類の豊かな一角だったようです。

★修復前のアンティークな建物と周辺の様子
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ジュセッペ氏はこの建物の修復リニューアル及び中庭デザイン、照明計画と敷地全体マスタープランを手掛けました。修復物件に絡まないエリアのランドスケープ、植栽計画はバルセロナのデザイナーが、温室はまた別の建築家がそれぞれ手掛けたと話してくれました。数人のデザイナーが入ることで困難な調整もあったと思いますが、ジュセッペ氏を中心に、彼自身が他のデザイナーさんにも取材を繋げて下さり、思った以上にたくさんの情報を頂きました。雑誌だけではわからなかったプロジェクトの大きさを知り、より興味深い取材となりました。
雑誌記事の内容を読み返しつつ、以下掲載の写真や図面をご覧頂ければと思います。

★トータルマスタープランは各氏打合せの元作成
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★外観も美しくリニューアル、元々のファサードデザインを活かした修復です
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★建築の縦ラインに合わせ、前庭、中庭もグリットデザインに
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★昼景と夜景:個性的な樹木が景色をつくります
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★建物と建物の隙間空間を活かすデザイン
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★メインエントランス:門扉のデザインも手掛けました。シチリアでも盆栽を多く生産しています
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●クライアント RADICEPURA
http://www.radicepura.com/index.php
この施設はラディチェプーラと呼ばれ、造語ですが直訳でピュアな根、つまり純粋な場所、スタート地点のような意味合いがあるようです。修復したヴィッラや温室では結婚式やパーティ、コンベンション、会議など多岐にわたり利用されています。エトナ山とイオニア海、山と海の雄大な風景の中に位置し、その名の通り純度の高い自然に根付いた場所となっています。
クライアントはナーサリーを所有し、自ら施工しています。他にもホテルやワイナリー、アグリツーリズム、レストランと幅広く経営しています。
地元の住民だけでなく、海外からの顧客にも対応し、会議や接待、イベントや結婚式、観光客対応など「人が集まる場所」として、新しい活動の場を提供しています。

●全体面積56040㎡

●Centro Congressi(コンベンションセンター)
建築修復及び一部新築(約3,000㎡)、駐車場(約5,600㎡)、中庭(約3000㎡)
Arch.Giuseppe Scanella
www.scannella.it

●全体ランドスケープ計画(約45,000㎡)
B ‘JORDI BELLMUNT ‘AGATA BUSCEMI ARQUITECTES
http://www.jordibellmunt.com/

●植栽施工 Piante Earo(クライアントグループ)

●温室 Arch. Nadir Guemida(シチリア在住アラブ人:フリーランス)

第2回目は建築、インテリアの修復にスポットを当ててご紹介します。
第3回目はランドスケープ計画の取材記事を載せたいと思います。
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THE BEST OF “I GIARDINI”は25周年を迎えた雑誌VILLE &CASALIに付録としてついた小冊子です。
春に一時帰国した友人が届けてくれました。
http://www.villeecasali.com/

裕福な個人邸、別荘などを美しい写真と共に紹介している雑誌です。付録の冊子は「THE BEST OF~」というタイトルで、邸宅でも海、山など景観の特集やインテリア、ワイナリー、スタイルなどのカテゴリーを特集したりと様々です。
http://www.villeecasali.com/the-best-of-villecasali/
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今回のTHE BESTOF “I GIARDINI”では16人のアーキテクトやガーデナーの作品を紹介しています。数名の作品を紹介したいと思います。

<第一弾>
UN PROGETTO EMOZIONANTE in Siciliaシチリア島の感動的なプロジェクト
“シチリアの地、建築家ジュセッペ・スカンネッラは庭を持つ歴史的建築物の修復を手掛けた。ここは様々な感覚、気持を落ち着かせる力がある”

シチリア島のカターニアより30㎞ほど北上、タオルミーナとの中間にGiarre(ジャッレ)という町にて、広大な農園の中の古い家屋をコンベンションセンターとして修復、個性的、特徴的なデザイン要素や素材を残しながら慎重に復元を試みた2012年の作品です。ワイン貯蔵庫の石壁、内装タイルや天井画も美しく残しています。
その様子はこちらの映像でご覧いただけます。
http://www.scannella.it/custompage.asp?idp=10
本人の解説付きです(イタリア語)

「敷地内には、この地に生息する特殊で珍しい樹種が多く、植物園というかナーサリーというか。計画に必要なのは、この風景に調和する美しさと機能を持ったガーデンデザインである。風景や自然保護上の規制と都市計画上の建築条件、既存建築の修復における条件など法規上の重複且つ解釈の違いを考慮しなければならないが、簡単ではない。法規上の問題にかかわる各々はこれを解決しなければならなかった。」

この地で通常使われる(伝統的な)建材の調達の問題、これは国内で古い建築を修復して使う時に当たる壁です。
可能な限り、これまでの風景を壊さず、同じ材料、色彩で修復する、部屋の用途を変えないなど、厳しい条件があるからです。
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「建築の足元はPietra di Comiso(シチリア島内コミゾ産の石)による大きな方形デザインとし、その中はシンプルに洗出し舗装とした。外部の照明は器具が見えず光だけが見えるような種類を詳細に吟味し、ラインやポイントに光が強調できるように計画したことで、光を外壁や樹木に沿って美しくリズミカルに連続させている」
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建物全体の前庭には島の自然を感じさせるようなナチュラルなデザインとなっていますが、中に入ると舗装面の市松模様のみ、シンプルなパターンの中に植栽桝が入り、グリーンの面を強調しています。それぞれの植栽桝には個性的な樹種が一本ずつ、その存在感を大きく見せています。

マスタープランを見る限り、建築的なパターンがさらに続いているようです。今回は建築周りの外構デザインだけが載っていましたが、どこまでデザインに関わり、2年ほど経過した現在どんな風に成長しているか、拝見してみたいものです。

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1ブーゲンビリア グラブラ“サンデリアーナ”
2ボトルツリー
3ニューサイラン(ニュージーランドマオラン)
4テイカカズラ
5オリーブ(自然樹形)
6モッコウバラ白“アルバプレーナ”
7クスノキ(潅木種)
8ゲッケイジュ
9オヒアレフア(ハワイフトモモ)の斑入り種
10クローブ亜熱帯種(エトナ火山の赤葉) ミルト(フトモモ)科
11フェニックス カナリエンシス(カナリーヤシ)
12オリーブ(仕立物)
13ボックスウッド(丸葉種)
14ワシントンヤシ(ワシントニアパーム)
15クスノキ(高木)

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Arch.Giuseppe Scannella
www.scannella.it
1953年生、1979年パレルモ大学建築学科卒業、生まれ故郷のカターニアにて活動中。
現代建築家としてバランスの良いデザインや手法に定評があると書かれています。
常に様々な種類の建築に取り組み、オブジェクトから建築、都市計画まで幅広く手掛けています。修復、再生から新規プロジェクトとプロジェクトの形も多岐にわたっています。

記事に載った作品はHP内でも紹介されています(建築が中心です)
http://www.scannella.it/custompage.asp?idp=13#!prettyPhoto[Gallery]/5/
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現在、浜名湖花博2014が開催中です。
http://hamanakohanahaku2014.jp/

サブタイトルに「浜名湖花博10周年記念事業」とあり、私は10年前の浜名湖花博2004に於いて出展作品の一つである「トスカーナガーデン」に携わっていました。

■10年経ったガーデンの全景です。緑量の迫力にビックリでした!
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このガーデンに携わるきっかけはある日本企業とディレクターの方からお声をかけていたことですが、私の名を紹介してくれたのはイタリアに住んでいた時に一緒に仕事をしていたPiante Mati社でした。
偶然にも別の知人のルートで彼らがガーデンデザインを依頼され、このデザインを施工するにあたって、彼らのデザインをよく知る日本人がいるから、と繋いでくれました。

■送られてきたデザインスケッチ
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実施図を描き、特殊な生垣や円錐樹木については、このようなガーデン植栽を得意とする造園事務所に相談し、施工より1年近く前から畑で育成してもらいました。
ガーデンとはいえ、テラスなど建築構造物もあり、何人もの観光客が上ることを想定した構造とし、思いの外
いろいろな壁に当たりながら、何とか出来上がった記憶が蘇ります。

■2004年の施工の様子です
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Piante Mati社のデザイナーが描いたデザインは一見、シンプルに見えましたが、生垣の作り方、高さの違いや組合せ、材料の選定など、詳細を詰めていく段階で施工の難しさがあり、造園事務所との綿密な打ち合わせが続きました。
面積にして約300㎡、広くはありませんが、密度の高いデザインでした。


ガーデンエリアには世界各国の作品が連なり、その中でいくつかの作品が保存され、メンテナンスされながら10年、私自身も10年ぶりにこの地を訪れました。

■2004年→2014年の成長ぶりを比べてみました。
全体の緑量も全然違います。メンテの賜物ですね。
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■イタリアンサイプレスの大きいサイズは手に入らず、当時、カイヅカイブキ(ロウソク仕立)を入れました。
時が経ち、カイヅカイブキ特有の炎のような姿になり、太った分?迫力です!
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■邸宅のバルコニーをイメージしたテラスの手摺が植物で見えなくなるほど!中央の花壇には
前には無かった樹木が!時の経過を感じます
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■当時難しかった施工の一つ、テラコッタ球・・・さすがにありませんでしたが、秘密の噴水ガーデンへの入り口は生い茂ってシークレットガーデン度が上がっていました!イタリアから飛行機に乗ってやってきた噴水オブジェは健在です(水の流れは止められていましたが)
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■2004年、記念イベントが開催されました。フィレンツェの助役(当時)とPiante Mati社のFrancesco&Luisa夫妻をお招きして浜松市との友好関係を結びました。
とても懐かしい一コマです。ここでたくさんの方に知り会い、今でもいい関係が続いています。
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10年後にこの地を訪れる機会に感謝します。
当時、一番人気だったモネの庭、バラの成長度は半端ありません!今回も沢山の人が訪れ、フォトスポットになっていました。
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今回は「番外編」の記事になりました・・・・
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“Le piante per il Bosco Verticale” 垂直の森、植栽計画

前回のブログでも少し触れましたが、高中木は植える時期2012年に合わせて2年ほど前からComo(コモ市)にあるナーサリーPeverelli(ペヴェレッリ)にて使用樹種を根巻して仮植え保存していました。高層階に順応する樹種を選び、このプロジェクトの為に研究を重ねたプランターシステム植樹用として特別な管理を施していたようです。
ナーサリーのHP
http://www.peverelli.it/vivaio/

●2011年冬
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●2012年春
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●2013年春、根巻の様子
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樹種の選択は、根の成長が遅め、根腐れしにくい、アレルギー性の少ない、病虫害に強い、花粉飛散が少ない、ローメンテナンスという条件のもと行われました。また、東西南北の方位や階高、日当たり等により、樹種を変えています。メンテナンスは共益費から賄われることになり、集中管理下のリモートコントロールによる人工灌水装置、液肥混入装置や害虫駆除用ワイヤー等の設置に加え、生物農薬の使用や益虫の利用を考えています。

◎植栽計画についてお聞かせください
建築と緑の融合を構築することは、都市部の生活環境向上にかかるエネルギーコストの削減に大きく貢献する手法の一つです。いわゆる建物緑化、屋根緑化は徐々に贅沢の象徴としての緑から都市部の生活環境の改善、向上のための緑の手法として形を変えながら進化してきました。これに従い、今後はあらゆる可能性を模索し、屋根や屋上、壁、中庭、道路や広場なども含めた人工物への緑化を推進していく必要があります。
我々は20000ほどの樹種を選択し、配置計画も詳細に検討しました。植栽デザイン、つまり木々、苗類をどう並べるか?ですが、まずバルコニーの配置を交互に重ならないように計画、高さや幅も細かく決めていきました。
プランターシステムのアンカーロープの設置が可能であること、光や気候条件の面からも配慮しています。
それぞれの立面(方位)によって環境が違いますので、必要に応じて植物を選択しました。もちろん、方位だけでなく階数による高さの変化にも樹種内容を吟味しています。住人の快適さにも配慮、南、西側に常緑樹を多めに植え、北と東側には落葉樹を増やしています。実際の施工前に、高層階に適した樹木の根鉢づくりの時間が必要でした。根の状態も把握し、少しでも弱っている材料は除き、美しい樹形に仕立てていきました。2年前より事前栽培の契約をした結果、実際の植え込み段階では何の問題もなく完了しています。樹木の種類はこの2年前、2010年の夏に選択し、Air-potと呼ばれる大きなプランターに入れて栽培スタートです。この目的は、高木が高層部でもいい状態を保てるよう、少しずつ環境に合わせた材料に育てることでした。


●2012年春~夏の施工風景
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ラウラ氏の言う「建築を包む緑」の効用と重要ポイントとは

①建築から発生する熱エネルギーの緩和、断熱効果
②大気汚染に対する浄化効果と植物の耐性
③二酸化炭素の吸収

これは世界共通要素ですね。計測実験により、垂直の森のファサードの緑は年間18.5トンの二酸化炭素吸収が可能と判明しています。植物維持に使用する年間の水消費量は、約60家族が使用する水量とほぼ同量と推定されています。また上記と重複する部分もありますが、建物緑化に合う樹種を選択するうえでの条件をあげてみると

①構造強度の把握
②根の成長度が遅い種類
③プランター内での成長に適した種類
④病虫害に強い種類
⑤非アレルギーの種類
⑥揮発性有機化合物(VOC)は低またはゼロを目指す
⑦トゲのない種類、樹液が少ない種類
⑧ローメンテナンス


ラウラ氏
私が検討したバルコニーや建物緑化に相応しいと考える種類は、例えば・・・ハマメリス(ヨーロッパマンサク)、ヴィバーナム(ガマズミ)、秋咲きカメリア(ツバキ類)、コウヤワラビ(夏緑性シダ類)など・・・あとグミ類も使えると思います。美しい色の実がなる木は鳥が好み、鳥は虫害を助けてくれます。どうしても春の花咲く時期を中心に考えることが多いのですが、夏の緑、秋の紅葉や結実の色、冬の姿もバルコニーからの風景として考えてきました。
ここには700本余りの樹木を植えました。オリーブ、ヨーロッパカシ、ブナ、トキワガシなど森をつくる樹種が多いですね。風に煽られてもしっかり根付くように底面にワイヤーメッシュを固定補強し、そこにアンカーを引っ掛けて高木を支えます。建築構造に根が直接ぶつからないように厚いマットを挟んで施工しています。


●2012年春~夏 プランター内の施工風景
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●2013年夏 施工風景
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◎完成後、どのように垂直の森と向き合うべきでしょうか?
一番重要なのはやはりメンテナンスですね。専門的な技術者によるメンテナンス、少なくとも5年間は一元化した契約が必要です。建築の上部からクレーンを用いてのメンテナンスとなるため、特殊です。プランターシステム(剪定、追肥、植物状態とアンカーの確認など)の維持が中心ですが、病中害に対する生物学的な管理(生物農薬)も施していきます。

◎ミラノに住む人々の声はどうでしょう?またイタリア全体、海外からの評価はどんなですか?
革新的な目新しいプロジェクトに対しては共通事項だと思いますが、常にミラネーゼたちの反対意見や感情と向き合ってきました。話し合いの場や会合、SNS上でも知人が意見を載せていましたしね。例えば、公然とプロジェクト反対を掲げる人々の存在や、純粋な投資物件としての価値が無いという意見、プランターシステムと植物の成長に対する懸念、垂直の森なんて非常識だと書く人も。
その一方で、世界からの目、建築造園業界や専門家は、都市における建築のあり方、着眼点上の新しい一歩としてのユニークな発想だと評価の声もあります。
垂直の森が世界から注目を浴び、国際的に認識されたことは世界中の著名な新聞記事や写真、情報機関によって証明されていると言えるでしょう。



アバンギャルド過ぎる!失敗するに違いない!という厳しい声がある中、「建築への新たな挑戦」を実行したミラノ市とこのプロジェクトに関わったメンバーに対し、みなさんはどのようにお考えですか?
失敗するかも、費用対効果がない、危険だ!と言って計画を中止するのは、ある意味簡単なことです。ひとつひとつ問題を解決しながら完成にたどり着いた垂直の森、竣工後が本当のスタートです。

造園関係者の声を聞きました。

「数年経過しただけではわからない。弱る木も、枯れる木もあるかもしれないが、数年単位で回復することもある。回復した後は強くなる。風で煽られて倒れそうになるプランターがあればすぐに対応し、メンテナンスも5年単位で計画しているなら、状況を見ながら変えていけばいい。本当の姿がわかり、成功か失敗か?の判断は10年後、いや15年後にやっとわかるものだ。」

La Reppublica 新聞社ネット記事(画像11枚)
(春の写真が掲載されています。サトザクラが美しく咲いている時期です)
●レップブリカ社のHPより抜粋
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Corriere 同じくネット記事(画像16枚)
●コッリエッレ社のHPより抜粋
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何をもって成功、失敗と判断するかは立場によって違うと思いますが、私個人としては長い年月の実験として様々なデータを取り、次の新しい挑戦に繋げられれば、成功なのではと考えます。

自分の目で見学できる日を数年以内に鋭意計画中です!
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A Milano nasce un Bosco Verticale ミラノに「垂直の森」が誕生!

ネット記事などで目にされた方も多いと思います。
マルモ出版No.94の巻頭特集ヨーロッパのアーバンデザインの中でも紹介されました。
HPより抜粋させて頂いています。
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建築家ステファノ・ボエリ氏率いるStefano Boeri Architettiのデザインによる2連の高層レジデンスですが、その名の通り、緑に包まれた塔のような建物です。
今回はこの設計に対する緑のコンサルティング業務を請けたLaura Gatti氏に話を聞くことが出来ました。
取材記事を数回に分けてご紹介します。

STUDIO LAURA GATTI
http://www.lauragatti.it/

ラウラ・ガッティ氏はミラノで活躍するランドスケープアーキテクトです。個人邸から公共施設、都市計画、コンサル業務と幅広い視野で仕事をこなしています。現在はミラノ大学で教鞭も取るなど、大忙しの日々の中、私のインタビューに時間を割いて下さいました。この場を借りてお礼を伝えたいと思います。
彼女はピアンテマーティ造園事務所(私の懇意にしている事務所としてブログでも何度もご紹介してきました)のフランチェスコ氏の幼少からの友人であり、垂直の森について話を聞きたいと繋いでもらいました。
いつもながら彼の人脈に大変感謝しています。

■Porta Nuova(ポルタ・ヌオヴァ地区)とは?
垂直の森の敷地であるポルタ・ヌオヴァ地区はミラノ中央駅からも近く、ガリバルディ駅(イタロの発着駅としてモダンな装いになった駅)に接する地区です。ドゥオモのあるチェントロ地区からも徒歩5分という近さです。
起案は50年近く前、住民の反対や資金調達、いろいろな問題を抱えながら長い年月をかけて完成に向かっている再開発事業エリア(約29ha)です。ミラノの郊外でも大きな再開発が行われてきていますが、こんなに歴史的中心街区に近い場所は紆余曲折あるのが当然でしょう。2012年完成を目指したはずですが、既に2014年ですね。
今はとにかく来年のEXPO MILANO 2015までに終われば!という目標となっているようです。
同地区は29haのうち、歩行者使用エリアが16haとなっており、緑のスペースもかなりの広さ、「木々の図書館」とHP内で名づけられていました。それだけ多くの植物を植えているということですね。
①Porta Nuova Galibardi、②Porta Nuova Varesine、③Porta Nuova Isoraと、大きく3つのゾーンに分かれており、Bosco Verticale(垂直の森)は3番目のPorta Nuova Isoraゾーンに建てられています。110mと70ⅿの高層がツインとなりそれぞれ26階、18階のレジデンスです。

ポルタ・ヌオヴァ地区のHP
http://www.porta-nuova.com/
ツインレジデンスのHP
http://www.residenzeportanuova.com/

■Bosco Verticale(垂直の森)
ラウラ氏はEmanuela Borio(エマヌエラ ボリオ氏)と共に、緑化に関わるコンサルティングを行ってきました。
2006年に建築設計がスタートし、2008年には建築緑化計画がはじまりました。その後2010年に、建築立面の詳細デザインが進むとともに、植栽計画を進め、ナーサリーで樹種の選択に入りました。ここから2年間、Como(コモ市)にあるナーサリーにて使用樹種を根巻して仮植え保存していました。高層に順応する樹種を選び、根が暴れないように仕立てながら管理を行い、植樹時期まで待機していました。

ツインレジデンスを覆う緑の数は約20,000本、うち高中木は約700本(MAX 8.0m)、低灌木類8000本強、地被11,000ポット強、数字では想像できませんが100種類以上の植物が約10,000㎡の面を包んでいます。それらを支えるプランターも研究を重ね軽量かつ頑丈、高層のためのオリジナルシステムです。

2012年より数回に分けて植樹をしていきます。最初は地上に近い階より3層分ずつ高木類の施工です。
<2012年4-6月>
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次の3層分に移ります
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高層部への植え込みは迫力ですね
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ラウラ・ガッティ氏
「ステファノ・ボエリ氏による初期構想は21世紀の都市における緑の実験として位置づけられました。この建物はLEED認証を受けてグリーンビルディングと名乗ることができます。高層におけるツリープランターシステムは最先端の素材、技術によって構築されたもので、建物が消費するエネルギーを30%削減でき、都市の空気汚染から建物を保護します。生物多様性の向上が期待されます。私にとっては人生初の“植物をメインに考えた建築計画”に出会えたことを嬉しく思います。
建築と緑の融合を構築することは、都市部の生活環境向上にかかるエネルギーコストの削減に大きく貢献する手法の一つです。いわゆる建物緑化、屋根緑化は徐々に贅沢の象徴としての緑から都市部の生活環境の改善、向上のための緑の手法として形を変えながら進化してきました。これに従い、今後もあらゆる可能性を模索し、屋根や屋上、壁、中庭、道路や広場なども含めた人工物への緑化を推進していく必要があると感じています。」


※LEED (Leadership in Energy and Environmental Design)
U.S Green building council(米国グリーンビルディング協会)による緑の建物に与えられる認証です。立地、水やエネルギー、資材や資源を有効的に使い、汚染、環境破壊削減、居住者やビルの中にいる人の健康と生産性を高め、環境や人間の体への負荷を減らす工夫をした建築に与えられます。立地選定から設計、建設、運営、改築、解体に至るまで、環境と資源に配慮した建物であるか、多くの項目毎に点数が加算されます。環境、エネルギー関連の他、デザイン性や教育や啓蒙などの項目もあります。


2012年に地上からスタートし、2013年にほぼ全階(最上階を含む上階から3層分は除く)、2014年現在、残すところの落葉樹や多年草植物の植栽工事のみとなっています。

<2013年夏>
建築ファサードの全貌も、緑量も見えてきました。
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<2013年12月>
南側に植えた落葉樹の姿です。東西南北それぞれの方角にあった植栽計画を施したとのことですので、今後のメンテナンス方法などもあわせ、計画コンセプトを取材中です。
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◎プロジェクトスタート時期のことをお聞かせください
ミラノは幸運なことに、国内では珍しく風が少ない街ですので、屋上や屋根緑化、人工地盤上の樹木に適しているのです。ただ私はプロジェクトの依頼を受けてからミラノ市内の事例を探して歩きましたが、計画は数えきれないほどあるのですが、施工に至ったものがものすごく少ない!だから、このプロジェクトが施工されることが本当に貴重な経験でした。
高層部にかなり大きな樹木を植える計画が進み、通常の屋上緑化工法では困難なことが予想されました。それは構造的なことだけではありません。“植物をメインに考えた建築計画”を進める中で一つ一つ新たな問題を検討し、解決してきました。


◎緑のコンサルティングの具体的内容を教えてください
ランドスケープ全体のコンサルとして動きました。高層に樹木を植えるプランターなど、これまでにありませんでしたので、特殊な箱のサイズ設定や製作からスタートしました。根鉢の基盤、構造の研究と同時に植栽計画に基づいた樹木や植物を施工2年前(2010年)にコモ市のナーサリーで選び、最初の見積項目に乗せて契約を交わしました。プランターシステムとして、樹木、土壌、プランター、アンカー全てを含んでいます。またマイアミ大学とミラノ工科大学の共同風洞実験を行いデータ解析も進めてきました。風と樹木、システムプランターの機能を知る重要な作業でした。

<2014年春>
先月の写真を送って頂きました。花咲く垂直の森、植えてからが本当のスタート!です。
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何年にも渡る計画、コンサルとして植物そのものだけでなく、都市建築への環境、植物が生きる環境の融合を目指した「垂直の森」、竣工は目の前まで来ています。

次回は植栽選択やそのコンセプト、ナーサリーとのやり取りなどをご紹介したいと思います。

La ringrazio molto per aiutarmi l'aticolo.
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★- Il rapporto con le sculture - A regola d’arte 完璧といえる彫刻と庭の関係 ★

前回ご紹介したAnna Scaravella氏の作品の紹介第二弾です。

Piacenza(ピアツェンツィア)とParma(パルマ)の中間ほどにあるFontana Fredda(フォンターナ フレッダ地区)のCadeo(カデオ)という小さな町の個人邸です。
家を設計したPiacenza在住の建築家より紹介を受けて、この仕事に携わりました。
クライアントはBob Wilson(Robert S. Wilson)の彫刻を収集しており、その作品を庭の中に点在させたいご意向でした。
Bob Wilson氏の作品は主にアルミニウム製の彫像、人物等身大のもので、頭部が動物(狼、鹿、兎など)、色使いも個性的です。

<彼女の作品集より抜粋>

Il paesaggio(風景)
別荘は農村地に建てられた60-70年代の建築で、自然に囲まれた緑と水が豊かな川に近い平地にある。道端に車を乗り捨て、数メートル歩けば、広がる緑の美しさ、静寂と水流の音、光を浴びてキラキラ輝く岩石が目に飛び込んでくる。その先にニンファ(妖精)の姿が。フォンターナ フレッダはそんな美しい土地である。
敷地は道路と川に挟まれた三角形、約5000㎡、川沿いにはヤナギやポプラ、ハンノキなど水辺の植物群が生い茂る。
別荘はVila Favorita(最愛の別荘)と名付けられた。
別荘を包む庭の中で起こっていること、それは彫刻と庭の関係性、自然と人工のコントラスト、違和感、緊張感、難しいバランスが面白い。ふたつの関係性を考える。ひとつは溢れる自然、樹木や植物、水流を好む既存の緑と計画された緑が共存する。もうひとつはその中に入りこむ都市的な要素・・・。
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Il giardino(庭)
Bob Wilson(彫刻家:ボブ・ウィルソン)氏の作品がデザインのメインである。彼は70年代のアバンギャルド芸術家として、才能を開花した人物である。
「空間も時間もそこに存在しない、どちらも同じことである。手のひらの上で見るならばポートレート、遠くに眺めるならば風景の一部となる。完成された光こそが空間となる。」と言っている。
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自然と彫刻、それらを包み込む光と影の明暗の差や境界線を非常に大事にしながら配置を決めた。
別荘から自然を見る、境界はなく空まで続く。光や影のラインがその場その場の分かれ目を作り出す。
芝生に落ちる影、川沿いの木々の影など・・・デザイン上の線を描く必要はない。

庭内の樹木は主に自生種、ポプラ、ヨーロッパナラ、、ヤナギ、ハンノキを植えた。
デザイン的にポイントとなる庭の中央は、芝生面を斜めに切った細長いプール、プールを横切るように列植した桑の木が場に個性を与えている。敷地内の塔の上から見ると、芝生にクロスした「X」が見える。この中を彫刻たちが歩き回っているような雰囲気だ。
桑の木はこの地方でよく見られ、特に農家の私道や並木道として列植えされてきた。農家を飢餓から救うために養蚕が大きく発展した時代である。
(養蚕の発展については過去のブログでも少し触れています:La Casa Colonica 農家
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道路と別荘の間にスクリーン的な緑として、ジャパニーズスタイルと名付けた場所がありました。
彼女の想う和のテイストとして、日本産のモミジとササ類の群植、段々に造られた流れをデザインしています。
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プロジェクトについて、彼女にお話を伺いました。

「アートは庭の中で動いています。これまでの歴史ある彫刻は庭の中で静かに佇み、庭は彫刻の美しさを見せる場でした。あ、ボマルツィオの庭園は違いますが・・・。私が考える現代アートとしての彫刻は庭の中で動き、ちょっと怖さとか面白さ、不思議さを感じるものです。
プロジェクトの検討事項として、第1にCadeoの町は平らです。平野にどう緑をデザインするか、第2に敷地は川に面していて、水辺の植物が境界際まで来ています。この条件の違う2種類の緑を分断しないようにお互い同士が溶け込むような植栽計画を施しました。彫刻たちはミステリアスに見え隠れし、川沿いの既存の木々の陰から突然姿を現します。狼や鹿の顔をもつ人像が謎めいた存在なのです。彫刻たちが美術館のように陳列展示されないことで、自由に自然や影と共に出現するでしょう。
川沿いの境界は水辺植生の茂みを厚くして敷地の境界がわからないよう、どこまでも広がっている錯覚を与えるようフィルターをかけました。
芝生の広がる中央にはシンプルな長方形のプール、安心感のある明るさ「光」と周囲のミステリアスさ「陰」、また人工的なジオメトリックなラインと周囲の有機的な自然形との対比を見せています。
この計画は地域の自然環境に配慮しながら、クライアントのアートコレクションとの融合も叶えた作品と言えます。」


クラシックなイタリアンガーデンは彫刻も生垣の緑も整然と静かに、庭を鑑賞する時も静かにしなければならない雰囲気があります。
この庭では出没するアートに驚き、時間と共に変わる光と影を追いかけ、楽しさとちょっとしたミステリーも兼ね備えた動の空間でもあります。
夕刻に、だんだんと暗くなる中で、ライトアップされたアートや木々の影、風に揺れる葉の音、近くに聞こえる水の音・・・ちょっと背中がぞくっとする感じが伝わってきたでしょうか?
ここに住むご家族は、四季を通じて、色々なシーン、音、アートの存在感を感じながら生活しているのでしょう。
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Arch.Anna Scaravella,La ringrazio molto per l’intervista.
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★La Casa nella prateria 草原の中の家★

前回ご紹介した雑誌記事 Tra rigore e spontaneita’「厳しい環境と自生植物」のデザイナーである
Anna Scalavella(アンナ・スカラヴェッラ氏)に取材できました。
彼女は自身の作品を一冊の本にまとめており、今回の作品も含めいくつかの物件について快く取材を引き受けてくれました。
Dal paesaggio al giardino –idea,progetto,realizzazione-
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Piacenza(ピアチェンツィア)の週末を過ごす別荘の持ち主は建築家ご夫婦+娘1人、普段はミラノで暮らしています。ピアチェンツィアはエミリアロマーニャ州に位置しています。ここはVal Luretta(ルレッタ渓谷)の自然に包まれた場所、そろそろ春ですね。眠っていた落葉樹や自生植物が徐々に息吹きはじめる季節です。
またの機会に春爛漫の美しい写真を見せて頂けるとのこと、デザインコンセプトであるこの場所の風景に溶け込む様子、山からの緑が繋がる様子、そして自生植物による風景の持続を楽しみにしたいと思います。
荒れたそのままの自然、ではなく、自然の美しい四季を繰り返すための庭づくり、家=建築=人間に近づくにつれて多少なりのメンテの必要な計画をし、山へ、丘へ向かうにつれて自然の力に任せる計画をしています。

■美しい渓谷の風景に佇む別荘は木とガラス、シンプルな造り、風景に溶け込むようにデザインされています
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彼女が自身の本の中で語る内容を抜粋しました。
非常に誌的で、上手に訳せているか・・・定かではありませんが、私なりの解釈で(笑)

■Il paesaggio(風景)
この地はどこが緑のはじまりで、どこが終わりか理解できない雄大な場所である。草原の中に刺さるように建築物が存在、でもそれは風景を遮らず、風景の中に溶ける。
木材とガラスでできた箱は透明な壁として風景が通り抜けるのである。
持ち主でもある設計者ご夫婦は「丘に舞い降りるような」家をデザインした。
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■Il progetto(プロジェクト)
現代建築のための草原をつくる、風景の中に家を造る、それはイコール緑、庭、風景の設計である。
純粋に建築につながる緑とは何だろう?たぶん同じように純粋な緑だろう。だから人工ではない、あるがままの自然をデザインした。
自生植物をベースに考えるということは、時間を必要とする。風が、動物が森から種を運ぶ、四季が繰り返す。そして植物にとっての「熟し」に達し、草原の完成である。
冬になれば枯れ、春にまた息吹く。自然の摂理のまま過大なメンテなど必要が無い。
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■Il giardino(庭)
斜面に建つ家から森を見上げ、反対を見下ろすと緑の地平線が見える。家の中にいても緑が繋がっている。
ガーデンの形としてのデザインを我慢して、自然のあるがままを受け入れるデザインとは、野生の自生植物を人間の介入なしで「熟し」の状態、いわゆる植物界の均整がとれている美しさをつくること。
敷地内を森に近い方から3段階に分けて考えた。1段階:森に近い一番高い場所は自生種をそのまま放置、2段階:少し人間の手を加えながらも自然のまま、種は撒かず、自然の力で運ばれてくるのを待つ場所、3段階:一番低い場所、家の前は芝生を敷く、手を加えるエリアとした。その結果、風景が森から家に至るまで緩やかな3つの変化をガラス越しに見せることになる。
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「この場所に既に成長して根付いている樹木や植物と、これから植える新しい植物が共生できるデザインを目指しました。視線上で繋がる緑の連続ですが、お互いの浸食を避けるために、コンクリートのシンプルな花壇でエリア分けしました。これが非常に大事だったと思っています。」

アンナ・スカラヴェッラ氏は以前住んでいたミラノから自然豊かなピアツェンツィアに移住しました。
現在は住居兼スタジオで仕事をしています。
農家を改造した家が多く、ここも昔は玄関前の大きな納屋、ポーチだったようです。
気持ちよい空気に包まれたオープンエアーのスタジオ、その地の植生を知り、自然をデザインする彼女に最適な空間です。
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Anna Scaravella - Landscape Designer
http://www.annascaravella.com/index.php

雑誌の記事での解釈とは少し違う印象もあったりと、デザイナー本人への取材は本当に楽しいものです。
この場を借りてご協力を感謝したいと思います。
とてもハンサムウーマンな彼女の今後の作品も楽しみです。

次回も引き続き、彼女の作品を取材します。
お楽しみに。
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小さな町の公園リニューアル
前回、マルモ出版「ランドスケープデザイン」にてご紹介したシエナの設計事務所Citera Studioの最新作品のご紹介です。
その時の紹介記事はこちら・・・

Castellina in Chianti(カステッリーナ イン キャンティ)はシエナより10㎞ほど北上した位置にある小さな町、古代ローマ以前のエトルリア期から続く、キャンティ街道最古の町のひとつです。
町は城塞に囲まれ、北の出口はフィレンツェへ、南の出口はシエナへ続き、かつての軍事拠点であった名残濃く、城塞の内側は壁やアーチ、トンネルになっている道も多く、重厚な印象です。
そんな歴史を持つカステッリーナ イン キャンティですが、現在は市庁舎での海外ウェディングも受け入れるらしく、何とも不思議な感じですね。

Citera StudioのVitoとRiccardinaは、この町の公園リニューアルを手掛けました。

イタリアには第一次世界大戦後に多くの場所で追悼公園がつくられました。公園は年を追うごとに、碑やオブジェ、遊具が増え、木も植物も成長を続け、元々のデザインにそぐわない姿になってしまう例が多いのです。この公園もそのひとつですが、さらに中央にある水景施設は大人にも子供にも人気があった分、多くの人が訪れたことで設備も景観も荒れてしまいました。

◆リニューアル前の公園の様子
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今回はこの水景施設を大人が憩い、子供が遊べる新しい核として公園全体をリフォームしています。

◆水景施設プランと全体植栽計画
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既存の大樹群を避けながら園路を修復する際には、根の状態を調査しながら丁寧に仕上げています。大きな木は根がどこを走っているかわかりません。考えずに掘り起し根を傷めると豊かな緑を無くしてしまいます。計画時から施工時までずっと今ある命を大切にリフォームしたと言います。
◆根の状態を見ながら平坦にしている様子
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花壇にはローメンテナンスでよい状態が保てる種類を植えています。例えば、アガパンサス、ヒペリカムヒデコート、フウロソウ(ゲラニウムロザンネ)、カシワバアジサイ、ローズマリー、ノバラ“ザ・フェアリィ”(ミニバラ・ポリアンサ)、ヒイラギ、ビバーナムティヌス(常緑低木、よく使われます)とのこと、日本でも使える種類も結構ありますね。
◆ヒペリカムヒデコート:日本でもよく見ますね
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◆フウロソウ:日本では園芸品種で、このように大きくは使わないかもしれません
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水景施設は、子供が自由に安心して遊べ、水に触れることができる遊具のようなデザインが生まれました。その周りには大人が子供たちを見ながら寛ぐことのできるスペース、ベンチを設置しています。
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彼らの拘りは、ただポンと既成遊具を置かず、自然材料(水、石など)を使ったここだけにしかないデザインでした。
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個性的であり、子供たちが跳ねたくなるそんなデザインですね。日本の飛石やケンケンパッ!を想像させられ、懐かしい気持ちになりました。
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明るくなった公園に町の人々も楽しそうです
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Dina & Vito
Grazie per l'introduzione del Vostro progetto!
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