VigettiMerlo.comトリノ郊外の事務所vol.01

今回はピアモンテ州トリノ(2006年冬季オリンピックが行われた街)の郊外にあるPinerolo(ピネローロ)という町でランドスケープデザイン事務所を営む友人の紹介です。AndreaVigetti(アンドレア・ヴィジェッティ)氏とFrancesco Merlo(フランチェスコ・メルロ)氏の2人によるユニットです。ここは町の中心にChisone(キゾーネ)川が流れ、自然保護地区に包まれた豊かな環境です。
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事務所の庭は日本庭園をアレンジしています。写真を拝見しただけではイタリアだと思えないほど!
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VigettiMerlo HP
http://www.vigettimerlo.com/index.html

★Andrea Vigetti(左)&Francesco Merlo(右)
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アンドレアとフランチェスコは1997年にトリノ大学農学部で出会い、一緒に卒業後、同大学のマスターコース“Progettazione del Paesaggio e delle Aree Verdi(風景と緑環境における設計デザイン)”に進み、ランドスケープデザインを学びました。
2人とも2003年より同学部で教鞭をとる一方、2006年より事務所を立ち上げ個人からパブリックスペースまで緑の環境デザインを手掛けています。
2013年にはScuola Agraria del Parco di Monza(モンツァ市にある歴史の長い緑環境を教える専門学校)よりコンタクトがあり
教え始めました。屋上緑化や壁面緑化技術、ガーデンデザインに加えCADの授業も教えています。
また同大学と連携し、マッジョーレ湖畔の歴史ある庭園にあるツバキやツツジの原種の研究および開発、ピアモンテ州に生息する18世紀代からのシャクナゲ種の研究も行っています。

トリノ大学農学部
http://www.disafa.unito.it/
モンツァ市専門学校
http://www.monzaflora.it/it/

フランチェスコ氏は日本庭園に大きな興味を抱き、2005年に来日、京都にあるResearch Center for Japanse Garden Art di Kyoto(日本庭園リサーチセンター)にて日本庭園を勉強、その後も来日して庭園師のもとで研修経験を積みました。現在はトリノ大学で日本庭園の心、手法など特化した内容も教え、イタリアに和のデザインを広めています。最近は講義の依頼も増えているとのこと、日本庭園への興味の高さが伺えます。
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フランチェスコ氏
「私は少年時代、13-14歳頃に「ベストキッド」を見て背景に映っていた美しい日本庭園や盆栽に惹かれました。これが私と盆栽との出会い、それから盆栽に魅了されスクールに通ったりナーサリーや山の中で見つけた植物を育てたりしました。どんどん植物の世界に入り込んだ私は言わずもがな、農学部へ進みました。
在学中も盆栽を育て続けていましたが、この美しく独創的な樹形を活かしている日本庭園にも強い興味を持ち始めました。卒業のお祝いに両親から日本への旅行をプレゼントされました…2002年のことです。京都ではこれまで書籍でしか見たことのない日本庭園の数々、配置も空間の使い方もイタリア、フランス、イギリスなどのヨーロッパの手法とは全く違うその場所に包まれ感銘を受けました。もう一つの大きな目的、盆栽作家の木村氏にお会いすることが叶いました。
帰国後、日本庭園に対する気持ちがどんどん強くなりました。ランドスケープのマスターコースに進みながら、日本庭園の独学を始めました。でも書籍だけでは限界がありますよね。3年後の2005年に京都へ再訪を決めました。「日本庭園リサーチセンター」で外国人向けのコースがあって、15〜20日という短いコースでしたが、内容は非常に濃いものでした。ここでたくさんの人と出会い、たくさんの庭園師と知り合いました。その中の1人、牧岡一生先生が研修の受け入れを申し出て下さり、2007年に1ヶ月ほど彼の下でスタッフとして造園業務、メンテナンス等を学ぶことができたのです。」


フランチェスコ氏と私を繋いでくれたのは奈良で造園業を営む増井サチミネ氏、十数年来の友人です。増井氏はイタリアで日本庭園の本を出版しました。その書籍を見てコンタクトをとったフランチェスコ氏と知り合い、増井氏はフランチェスコ氏を通じて牧岡氏とも繋がり、その後、牧岡氏と共にフランチェスコ氏のプロジェクトに深く関わることになります。人の縁の大事さを感じます。

フランチェスコ氏

「京都における研修経験をきっかけに翌年にはトリノ大学で牧岡先生に講義をお願いし、その際、既に友人であった増井氏に通訳を依頼し、大変有意義な授業を受けることが出来ました。その後イタリアから学生と専門家合わせて30人の京都、奈良、金沢ツアーを行うことが叶ったのです!2人のおかげで貴重な日本庭園に出会え、さらに2日間の実施体験として小さな枯山水庭園を施工、これは本当に素晴らしい経験でした。その後も数回、トリノでの講義をお願いしています。
日本庭園の理解は日々勉強が必要です。特に私は借景や縮景の手法、その中で特に「隅掛け」「雁行」を深く学びたい。今、書籍の出版計画も進めています。日本庭園は灯篭、蹲や紅葉、松や竹林を並べるだけではない…その空間の作り方に意味があるのだということを伝えたいのです」


※牧岡一生氏は海外でも数多くの日本庭園を手掛けています。
http://www.teishamakioka.com/
※増井サチミネ氏のHPはこちら
http://www.sachimine.com/welcome.html

昨年の秋にモンツァ市の専門学校で実技演習を行いました。
フランチェスコ氏
「小さな枯山水の模型を砂と石で作製することで学生たちは空間を理解していきます。シンプルな作業に見えますが、この作業で空間をつくる形そのもの、岩の組み方、大きさ、動きのある繋がりなど細部まで把握でき、重要なことなのです。教室での講義の後、実践演習にうつりました。今回は真・行・草の教えに基づいた手法で実際に園路をデザインし施工しました。真の入口、行の渡り、草を終点として、三つの章を物語る庭です。」

★模型をつくっている様子
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★真行草の庭施工中
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★踏止石(関守石)のある切石敷が厳格な「真」を表現
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★「行」を表す延段
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★「草」のくずしを表現する飛石と手作りのモダン灯篭、蹲
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フランチェスコ氏
「牧岡先生から学んだ技術、実践、美しい手法を学生たちに伝えていきます。真の日本庭園に触れ、借景、真似、縮景の手法は全てのガーデンデザインに値するもので、どんなタイプのデザインにも取り入れることができる芸術だと思っています。重森三玲氏の遺作となった松尾大社の松風苑三庭、特に枯山水と立石の使い方に感銘を受けました。私たちは日本庭園を一から造り上げた経験はまだ少ないですが、この手法をさらに自分のものとして極めていきたいと思います。おそらく来年からこの専門学校でも日本庭園学を続けて教える方向です。単発の実技演習は大変好評でしたので、コースとして進めていければとても嬉しいですね」


次回は、フランチェスコ氏が牧岡氏、増井氏と共に造り上げた日本庭園プロジェクトをご紹介します
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by ciaosae | 2015-02-09 08:43 | LAVORO(仕事) | Trackback | Comments(0)
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