Agriturismo 海に臨むアグリツーリズム

Donna carmela Agriturismo Riposto, 2007
海に臨むアグリツーリズム(宿泊施設&レストラン)
http://www.donnacarmela.com/

しばらく間が空きましたが…引き続き、建築家Giuseppe Scannella氏の作品です。

シチリアのRiposto(リポスト)、前回まで3回に分けてご紹介しましたコンベンションセンターのある街Giarre(ジャッレ)の隣、海に面した小さな町の郊外、畑の中に美しい宿泊施設がリニューアルオープンしました。
元の建物は1870年代の古いシチリア風邸宅(農家)、エトナ山の東斜面地の海に近い場所にあります。

★海に近い田園風景の中に位置しています
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2007年に現代風にアレンジした魅力的な施設に生まれ変わりました。
併設の粉挽き場(ワイン醸造のブドウ圧搾の場所を兼ねている)、厩舎、機械設備(リカバリー施設)を含む建築全体の修復を地元の専門家によるチームが進めました。
この地域特有の火山のすそ野の緩やかな斜面の雰囲気をそのまま残しながら構造的、設備的な修復を行いました。

★全体敷地図&各階平面図
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<ガーデン>
舗装全体をグリット上にデザインし、ラインにBasale di pietra lavica(溶岩石のグレー石材)を使い、囲まれた面には小石を埋め込んでいます。配色はシラクーサ産の白~淡いベージュの玉石とフレームのグレー石材、カターニャ地方のバロック様式を再現しています。建物配置に合わせ、正方形、長方形とグリットに変化をつけながら全体を繋いでいます。

★建物に囲まれた大きなガーデンリビング
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このデザインにより大きな外構スペースは部屋を繋ぐカーペットのような気持ちよさを与え、敷地内の移動もリラックスした気分になれるのです。建物に囲まれた大きなリビング、イベントなどみんなで集まれる楽しい空間にもなりますね。夜の風景もステキです。
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<プール>
曲線でデザインされたプールは緩やかな階段でゆっくり水に入っていきます。プールラインは舗装に使ったグレーの石材と同じ材料で縁取りし、オーク材のデッキに繋がります。デッキの下にはオーバーフロー設備があり、それを隠す役割もしているようです。
屋根には太陽光発電パネルが設置されていますが、風景を邪魔せず、訪問客の目に留まらないように配慮されています。
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<建築・インテリア>
元々大きな納屋だった建物の天井高は通常の2倍ほどあり、天井の形状はそのままに栗材(ウマグリ)のトラスを組んで渡りの橋(廊下)を乗せました。屋根裏部屋の探検をしたくなるような造りがわくわくします。
床は濃灰色の色粉と砂を混ぜ、表面をブラッシングして樹脂塗、個性的に仕上げています。お客を迎えるメインのラウンジには古い丸太柱も残され、内装に味わいを添えています。

★宙に浮くような渡り廊下は空間のアクセント
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★渡り廊下へ続く階段
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★古い丸太が個性的
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古い鳥小屋だった場所は石灰岩がアーチ状に残る天井が美しく、静かに読書などを楽しむスペースに、地下の貯水施設として使っていた場所はワインセラーになりました。

★アーチを残した美しい仕上り
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★読書コーナー
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★ワインセラー
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★ジュセッペ氏のお話
「これまでいくつものシチリア建築の修復を手掛けてきましたが、ここは大変興味深いやりがいのある修復デザインだったと思います。シチリア島の伝統的な農村建築であり、連続する建物の繋がりの個性的な、とういうか不思議な変化、不安定さみたいな感覚も面白く、過去の姿や生活を静かに私たちに伝えてくるような気がしました。設計がスタートし、私たちは詳細な調査を進めながら建築ボリューム、付帯施設など歴史的背景も理解を深めていきました。その結果が今日ある姿ですが、空間の繋がりや潜在的なデザインを大切にしています。
例えば、あちこちに見え隠れするアーチ構造が支えてきた高い天井、この機能が現在の装飾要素の鍵となっています。また農村建築に使われてきた天然建材、決して高級品ではないのですが、これらのもつ表情や素材感は修復する上で重要なものだと思っています。」


歴史深い建物の修復は過去の生活感や雰囲気も現代に繋ぐ、Giuseppe氏の経験値ならではの絶妙なバランスで出来上がった空間です。

シチリアの旅に、アグリツーリズム体験いかがでしょうか??
私は建築家ガイド付きの贅沢な宿泊体験を希望します!!!

たくさんの取材に応じて頂き改めて感謝します。
現在もワイナリーやアグリツーリズムセンターなど着々と計画や施工が進んでいるとのこと、完成の頃、また取材をお願いしようと思います。

Arch.Giuseppe & lo staff
Vi ringrazio molto per l'intervista cosi tante volte.
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