Bosco Verticale-2 「垂直の森」の植栽計画

“Le piante per il Bosco Verticale” 垂直の森、植栽計画

前回のブログでも少し触れましたが、高中木は植える時期2012年に合わせて2年ほど前からComo(コモ市)にあるナーサリーPeverelli(ペヴェレッリ)にて使用樹種を根巻して仮植え保存していました。高層階に順応する樹種を選び、このプロジェクトの為に研究を重ねたプランターシステム植樹用として特別な管理を施していたようです。
ナーサリーのHP
http://www.peverelli.it/vivaio/

●2011年冬
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●2012年春
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●2013年春、根巻の様子
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樹種の選択は、根の成長が遅め、根腐れしにくい、アレルギー性の少ない、病虫害に強い、花粉飛散が少ない、ローメンテナンスという条件のもと行われました。また、東西南北の方位や階高、日当たり等により、樹種を変えています。メンテナンスは共益費から賄われることになり、集中管理下のリモートコントロールによる人工灌水装置、液肥混入装置や害虫駆除用ワイヤー等の設置に加え、生物農薬の使用や益虫の利用を考えています。

◎植栽計画についてお聞かせください
建築と緑の融合を構築することは、都市部の生活環境向上にかかるエネルギーコストの削減に大きく貢献する手法の一つです。いわゆる建物緑化、屋根緑化は徐々に贅沢の象徴としての緑から都市部の生活環境の改善、向上のための緑の手法として形を変えながら進化してきました。これに従い、今後はあらゆる可能性を模索し、屋根や屋上、壁、中庭、道路や広場なども含めた人工物への緑化を推進していく必要があります。
我々は20000ほどの樹種を選択し、配置計画も詳細に検討しました。植栽デザイン、つまり木々、苗類をどう並べるか?ですが、まずバルコニーの配置を交互に重ならないように計画、高さや幅も細かく決めていきました。
プランターシステムのアンカーロープの設置が可能であること、光や気候条件の面からも配慮しています。
それぞれの立面(方位)によって環境が違いますので、必要に応じて植物を選択しました。もちろん、方位だけでなく階数による高さの変化にも樹種内容を吟味しています。住人の快適さにも配慮、南、西側に常緑樹を多めに植え、北と東側には落葉樹を増やしています。実際の施工前に、高層階に適した樹木の根鉢づくりの時間が必要でした。根の状態も把握し、少しでも弱っている材料は除き、美しい樹形に仕立てていきました。2年前より事前栽培の契約をした結果、実際の植え込み段階では何の問題もなく完了しています。樹木の種類はこの2年前、2010年の夏に選択し、Air-potと呼ばれる大きなプランターに入れて栽培スタートです。この目的は、高木が高層部でもいい状態を保てるよう、少しずつ環境に合わせた材料に育てることでした。


●2012年春~夏の施工風景
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ラウラ氏の言う「建築を包む緑」の効用と重要ポイントとは

①建築から発生する熱エネルギーの緩和、断熱効果
②大気汚染に対する浄化効果と植物の耐性
③二酸化炭素の吸収

これは世界共通要素ですね。計測実験により、垂直の森のファサードの緑は年間18.5トンの二酸化炭素吸収が可能と判明しています。植物維持に使用する年間の水消費量は、約60家族が使用する水量とほぼ同量と推定されています。また上記と重複する部分もありますが、建物緑化に合う樹種を選択するうえでの条件をあげてみると

①構造強度の把握
②根の成長度が遅い種類
③プランター内での成長に適した種類
④病虫害に強い種類
⑤非アレルギーの種類
⑥揮発性有機化合物(VOC)は低またはゼロを目指す
⑦トゲのない種類、樹液が少ない種類
⑧ローメンテナンス


ラウラ氏
私が検討したバルコニーや建物緑化に相応しいと考える種類は、例えば・・・ハマメリス(ヨーロッパマンサク)、ヴィバーナム(ガマズミ)、秋咲きカメリア(ツバキ類)、コウヤワラビ(夏緑性シダ類)など・・・あとグミ類も使えると思います。美しい色の実がなる木は鳥が好み、鳥は虫害を助けてくれます。どうしても春の花咲く時期を中心に考えることが多いのですが、夏の緑、秋の紅葉や結実の色、冬の姿もバルコニーからの風景として考えてきました。
ここには700本余りの樹木を植えました。オリーブ、ヨーロッパカシ、ブナ、トキワガシなど森をつくる樹種が多いですね。風に煽られてもしっかり根付くように底面にワイヤーメッシュを固定補強し、そこにアンカーを引っ掛けて高木を支えます。建築構造に根が直接ぶつからないように厚いマットを挟んで施工しています。


●2012年春~夏 プランター内の施工風景
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●2013年夏 施工風景
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◎完成後、どのように垂直の森と向き合うべきでしょうか?
一番重要なのはやはりメンテナンスですね。専門的な技術者によるメンテナンス、少なくとも5年間は一元化した契約が必要です。建築の上部からクレーンを用いてのメンテナンスとなるため、特殊です。プランターシステム(剪定、追肥、植物状態とアンカーの確認など)の維持が中心ですが、病中害に対する生物学的な管理(生物農薬)も施していきます。

◎ミラノに住む人々の声はどうでしょう?またイタリア全体、海外からの評価はどんなですか?
革新的な目新しいプロジェクトに対しては共通事項だと思いますが、常にミラネーゼたちの反対意見や感情と向き合ってきました。話し合いの場や会合、SNS上でも知人が意見を載せていましたしね。例えば、公然とプロジェクト反対を掲げる人々の存在や、純粋な投資物件としての価値が無いという意見、プランターシステムと植物の成長に対する懸念、垂直の森なんて非常識だと書く人も。
その一方で、世界からの目、建築造園業界や専門家は、都市における建築のあり方、着眼点上の新しい一歩としてのユニークな発想だと評価の声もあります。
垂直の森が世界から注目を浴び、国際的に認識されたことは世界中の著名な新聞記事や写真、情報機関によって証明されていると言えるでしょう。



アバンギャルド過ぎる!失敗するに違いない!という厳しい声がある中、「建築への新たな挑戦」を実行したミラノ市とこのプロジェクトに関わったメンバーに対し、みなさんはどのようにお考えですか?
失敗するかも、費用対効果がない、危険だ!と言って計画を中止するのは、ある意味簡単なことです。ひとつひとつ問題を解決しながら完成にたどり着いた垂直の森、竣工後が本当のスタートです。

造園関係者の声を聞きました。

「数年経過しただけではわからない。弱る木も、枯れる木もあるかもしれないが、数年単位で回復することもある。回復した後は強くなる。風で煽られて倒れそうになるプランターがあればすぐに対応し、メンテナンスも5年単位で計画しているなら、状況を見ながら変えていけばいい。本当の姿がわかり、成功か失敗か?の判断は10年後、いや15年後にやっとわかるものだ。」

La Reppublica 新聞社ネット記事(画像11枚)
(春の写真が掲載されています。サトザクラが美しく咲いている時期です)
●レップブリカ社のHPより抜粋
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Corriere 同じくネット記事(画像16枚)
●コッリエッレ社のHPより抜粋
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何をもって成功、失敗と判断するかは立場によって違うと思いますが、私個人としては長い年月の実験として様々なデータを取り、次の新しい挑戦に繋げられれば、成功なのではと考えます。

自分の目で見学できる日を数年以内に鋭意計画中です!
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