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Tra rigore e spontaneita’~厳しい環境と自生植物~

<画像転載禁止、ご理解ください>
★恒例・・・イタリアのガーデン雑誌「gardenia ガルデニア」2013年10月号より★

Tra rigore e spontaneita’~厳しい環境と自生植物~
環境に適した自生植物を中心に配色された風景の一部になる屋根緑化事例の記事をご紹介します。
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Piacenza(ピアチェンツィア:ミラノより南に70㎞ほど)の郊外、なだらかな丘に建つこの別荘は、驚くべき透明な家、大きなガラス面で内と外が繋がっているように見せています。もう一つの特徴は屋上緑化された大屋根ですが、施工後、灌水設備を設置しないまま15年が経ち、セダム類など強健な種類だけが生き残っている状況でした。クライアントはそのような一定の種類に浸食されたような、残念な姿に成り果ててしまった屋根緑化をやり直すべく、2011年ランドスケープデザイナーのAnna Scaravella氏がこの困難なリフォームにチャレンジしました。自然の生命力に対立せず、住まいの近くにどう植物を共生できるか?この土地に自生する植物種類をベースに検討を進めました。
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山の方に向かって縦長の敷地は緩やかな斜面、その中間地に建築があります。敷地の上方には木が茂る森、その中に車道が面しており、住人は上方からアクセスする造りです。そのあたりに植えられた木々、植物はこの地に合わなかったのか、発育不良気味のようです。
建物に近い場所には芝生が敷かれていましたが、今回Scavella氏は芝生と植栽地の間にコンクリートの仕切り(H400)を設け、植物がお互いの浸食を防ぐようにした上で、囲まれて花壇となった部分に堆肥を加え、軽い畝を作りました。仕切りによって芝生地と草地(自生種)を分割することで、両方とも浸食しあうことなく、共存できるのです。
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風や動物、鳥や水の流れによって森から植物の種が運ばれ、1年も経たないうちに春・・・ここは草原のように爽やかな緑で覆われます。色とりどりのワイルドフラワーが繁茂するのです。夏になれば、一面黄色の花で絨毯のようになるでしょう。
時間の経過により、ここは極相(クライマックス:生物群における平衡状態)になり安定します。

周辺の大きな緑に融合し、植生をつなぎ、自然と共に暮らす家、数年後の姿が楽しみですね。
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Anna Scaravella - Landscape Designer
http://www.annascaravella.com/index.htm
アンナ・スカラベッラ氏のホームページです。
プロフィールを拝見、在伊日本人建築家とのコラボレーションもあり、興味深いランドスケープデザイナーです。